孔雀
□sidestory※ただいま準備中本編進行後復活予定
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きっと母が実家で飲んでいた紅茶には足元にも及ばない安い紅茶だったが、きっと手軽に容れれるソレは忙しいのにお手伝いを雇わない家で母には充分だったのだろう。
母と何をした、なんていう記憶は殆どない。だけど寒くなってくると小学校から頬を赤くして白い息を吐きながら帰ってきた私に、母が容れてくれたミルクティーは今でも唯一の温かい思い出。
昔から両親は仕事に忙しく家には殆どいなかった筈で、そう何回も容れてもらった訳ではないのに、その思い出は小さな頃の宝物のようなものだった。
お気に入りだったピンクの縁の優しい色あいの花柄のカップ、お湯を注いで花柄がお茶の紅に染まっていく
そこに真っ白で湯気の発つ温かいミルクを注ぐと、ピンクや黄色など様々カラフルな色した星☆の形の砂糖をシュガーポットから摘んで一つ容れる
紅と白とお砂糖から出た小さな泡が混ざりあって溶け合うのをゆっくり見つめてから、その日あった学校や友達との出来事を話した。
高い紅茶というわけでも、煎れ方にこだわったわけでも無かったけれど当時は1番家の紅茶が美味しいと思っていた