SS〜攻殻〜
□願望
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道に立ち止まり、じっと前を見る。
いつだった。
あの熱いアスファルトの熱気。
人々のざわめく騒音。
いつだった。
冷え切ったリノチウムの床。
耐え切れないほどの静寂。
絶望とも、希望とも言えない、
入り混じった想いを抱いて。
俺は青い自分の衣服をじっと掴んで立っている。
俺は俺によく似た眼をした娘の手を掴んで立っている。
これは過去なのか。
これは未来なのか。
現在はどこなのか。
強張った身体は動かない。
恐怖とも、
興奮とも、
俺の脳核の奥深く、
もしかしたらそれがゴーストというべきものなのか。
奥深くで何かが焼け焦げるように。
何度だって繰り返す。