月の民の唄

□未来はき月と共に
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お腹を抱えて笑っている紗夜を引きずる様にして森を抜ける。外には草原と丘が広がっていた。

「もう近くまで来てるはずなんだけと」
「早く見つけないと、後でうるさいぞ」
「アーク、達の、仲間って、どんな人?」
「いつまで笑ってんだ」
「痛いっ」

アークがずっと笑っている紗夜の頭を小突く。

「黒い髪で黒い服で背が高いから分かりやすいんだけど」
「黒づくめって……。あれじゃないの?」

紗夜が指を指す方向。草原を歩く3人の前方、丘の上に二人の人影が現れた。
一人は背が高く、もう一人は女性のようだ。

「いや、アイツは今単独行動中のはずだ」
「でも、背格好は似てるね」

距離があるためハッキリと姿が見えない。そのためフェイトが背伸びして、じっと目を凝らす。
紗夜も同じようにして、二人の影を見つめる。
不意に女性の髪が風に揺れた。

「紗夜!?」

それを認めた瞬間、紗夜は走りだしていた。呼び止める声にも耳を貸さない。ただひたすらに、全力で。

見慣れた長い黒髪。
美人だと言うと、真っ赤になって一生懸命否定して。
しれっと黒い事を言って。
困った時は助けてくれる。

相手も紗夜に気付き、走り出す。同時におもいきり空気を吸い込むと、大きな声で互いの名前を叫んだ。

「レオ!」
「歩未!! 迷子にならなかった!?」
「感動台無し」

感動の再会は、紗夜が歩未に怒られる所から始まった。

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