月の民の唄

□七つの光との明星
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「へー、ほー、おおっ!!」
「おい!その間抜けな声を何とかしろ!!」
「間抜けで悪るかったね」

黒耀に向けて舌を出して見せるが、紗夜の心は初めて見るこの光景に釘付けだ。

「黒耀、あれ買って!」
「ガキかお前は!!」

石畳の街道の両脇にはお店が並び、見たことのない商品たちが太陽の光を受けて一層煌めいている。

「首都ともなると、何もかもグレードが高いよね」
「ね、ね。スゴいよね?」
「馬鹿みたいにはしゃがないけどさ」
「う……」

黒耀に続き紫乃にまで言われると、なんとなく恥ずかしくなってくる。

「そんなに珍しいか?」
「わたし達からすると、何もかも見たことのない物ばかりですから」

紗夜ほどではないにしろ、紫乃も歩未も興奮を抑えきれないでい様子だ。

「でしょ、でしょ!」
「しゃいだりはしないけどね」
「………」

歩未にトドメを刺され、流石に紗夜も大人しくなる。

紗夜達はクリスタニア城へ続く大通りを城へ向かって歩いていた。
戻って来たのは、アーク達が国王に呼び出されたからだ。ついでにまだ見つからない二人の情報が得られればと、紗夜達も着いてきた。

「ねぇ、アーク。何で呼び出されたんだと思う?」
「さぁな、だが……」

言葉を切ると、先程まで紗夜達の様子を見ていた穏やかな顔から顔を険しくする。

「あんまり良い呼び出しじゃないだろうな」

アークの言葉を聞いて、フェイトの顔も兄と同じ様に険しくなる。

「何が起ころうとしているんだろうね?」

二人が見上げた空は、心とは裏腹にどこまでも青く透き通っていた。

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