月の民の唄

□戦場の銀光に染まる刃
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「すごい数だな」
「イーブルニアは、本気でクリスタニアに戦争を仕掛ける気なんだね」

聖獣に乗って空から偵察をするアークとフェイトの眼下には、イーブルニアの軍隊が展開している。

各々が武器を手に、目の前の敵を滅ぼさんと歩みを進める。
そんな様子を見てしまえば、自然と表情も険しくなってしまうだろう。

「何にせよ、迷惑極まりない話だけどね」
「レオン!」
「あんまり近づくと、敵を刺激しちゃうよ」

高い位置を飛んでいるとはいえ、見つかればいらぬ騒ぎを呼んでしまう。

「アークに言われた通り、オロールに駐屯している兵を動かせるようにはしておいたよ」
「わかった」
「本気でやる気なの?」

フェイトとレオンの視線がアークに集まる。決定権をゆだねられているのは、ただ一人。アークだけだ。

「向こうがその気なら、コチラも戦うしかないだろうな」
「数の面では圧倒的に不利だよ」
「そこはほら、優秀な頭脳がココにいるわけだし」

今度はレオンに二人の視線が集まる。
視線を受けたレオンは額に手を当てて、深くため息をつく。

「いくら僕でも出来ることと出来ないことがあるんだけどね」
「レオンなら簡単だよ」
「言ってくれるよね。まぁ、そんな風に言われちゃ、やらない訳にはいかないけどね」
「で、俺たちはどうすればいい?」
「僕はかき集めてきた兵を率いて正面を守るから、君たちは……」

レオンが続けた作戦に、二人は言葉を失った。

「それは、また。大胆な作戦だな」
「ホント、責任重大だよ」

流石の二人も表情が固くなる。
無謀ではないだろうが、多少無茶ではある。

「勝つも負けるも君たち次第だから」
「簡単に言ってくれる」
「アーク、レオン。気をつけて」

三人が各々の持ち場に散ったあと、戦場に火花が上がった。

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