月の民の唄

□七つの光との明星
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「でかっ」
「すごい……」

目の前にそびえ立つ巨大な城を前に、紫乃と歩未はただただ上を見上げるばかりだ。

紗夜はそんな二人の様子を見て、自分も数日前に同じような思いでこの城を見上げたことを思い出して苦笑いする。
初めて見たのだから仕方ないと言えばそれまでだが、見慣れた人間から見ればとても可笑しな光景に見えたに違いない。

紗夜の考えていることが分かったのか、アークが同じように苦笑しながら三人の隣に立つ。

「俺たちはこのまま国王の元へ行く。紗夜達はどうする?」
「うーん……」
「決めてなかったね」
「どうすんの?」

実際の所、残りの二人についての情報を聞いてきてくれるのはアーク達だ。紗夜達自信は暇なのである。

「ん?」

どうしたものかと思案す
る紗夜の視界が、此方を向いて立っている影を捉える。

「ねぇ、アーク。お城の入り口のとこに誰かいるよ」
「ん? あれは……」

アークが目を細めて影の正体を探る。

「レオンか!?」
「レオン?」
「僕たちの仲間だよ。レオン!」

フェイトが手を降ると、レオンと呼ばれた影はゆっくりと紗夜達の元へと歩いてくる。

「遅かったね、待ちくたびれたよ」
「お前が勝手に立ってたんだろうが」
「君ってどうして考えが回らないの? 用がなきゃ、こんな所に立ってるなんて無駄な事すると思う?」
「なんだと!?」

明るい緑色の髪と瞳を持った少年は側に来るなり、いきなり黒耀と不穏な空気になってしまう。

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