テニスなお姫様もどき2

□第32話 眠れない夜
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肝試しが終わり、部屋に戻った夏希、梓、由良は就寝の準備をしていた。


ただ一人澪菜は、部屋の片隅で床を見つめている。


梓「おぅい、寝ないのかぁ?」


梓は澪菜に近寄り、彼女の顔を覗き込む。


夏希「ほっとけ。そのうち眠くなったら寝るだろ」


夏希はあっさりと見捨てる。


梓「うぅーん…。けどさ、何で突然へにょんとしちゃったのさ」


梓は首を傾げて夏希に尋ねる。


夏希「あたしに聞くな」


夏希に冷たく返されたので今度は由良に向き直る。


由良「私にも分からないわ」


梓「ムムム…、こういうトキは恵さん……」


澪菜「……!」


梓が恵の名を出すと、突然澪菜の身体がびくんと震えた。


梓「反応した…?」


夏希「………。

あ、恵さん!」


澪菜「め、恵くん!?

……あれ?」


澪菜は顔を上げて部屋の中を探すが、兄の姿は見当たらない。


夏希「嘘だよ」


由良「澪菜…。恵と何かあったのね」


由良に問われ、最初は戸惑ったが、やがて観念してゆっくりと口を開く。


澪菜「……私、恵くんに馬鹿って言っちゃったんだよ」


由良「あら、そんなことは別にたいした……」


夏希「何ぃぃ…!!

お前、そんなこと言ったのか!」


優しく慰める由良に反して、夏希は激昂した様子で澪菜に詰め寄る。


夏希「あの人が一体なにやったって言うんだ!」


澪菜「……二人に失礼なこと言ったの」


夏希「……意味分からねぇんだけど」


澪菜「あのね……」


澪菜は少しずつ昨夜のことを語り出す。

恵に、真田と日吉とを二股にかけていると誤解されたこと。

その上、弁明したが聞いて貰えなかったこと。

そのことに憤慨して、つい兄に馬鹿と言ってしまったこと。
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