テニスなお姫様もどき
□第7話 森の〇〇さん
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由良が爽やかに笑う。それによって場の空気が凍りつく。
夏希「…あー、あたし、あっちの方見てくるわ」
夏希は右手側を指差し、その方向へ歩いていく。それに忍足と宍戸も付いていく。
由良「行ってしまったわ。
跡部くん、あなたは行かないの?」
跡部「何故俺様が行かなきゃならねぇんだ」
由良「そう。
では、私は行くわね」
そうして由良は、夏希とは反対方向の左手側へと歩いていく。
跡部「ハァ!?
ちょっと待て!!」
跡部に止められ、由良は足を止めた。そして振り返り、
由良「何を言っているの。じっとしていても散策にならないでしょう?」
と、言って、再び歩み出した。
跡部も由良の言葉に取りあえず納得し、彼女についていく。
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その後ろに鳳と日吉は身を潜めていた。そして、小声で話す。
鳳「日吉。
俺、行ってくるよ」
日吉「どこに?」
鳳「澪菜さんの所。一人で行ったなんて心配だよ」
日吉「芥川さんのお願いはいいのか?」
鳳「芥川さんには悪いけど、澪菜さんって、この前迷ってたから心配なんだ」
日吉「迷ってた?」
鳳「うん、学校でね。
そういうわけだから行ってくるよ」
鳳は澪菜の向かった方向に歩いていく。
日吉「……」
日吉は少し考え、自分も同じ方向へ向かう。
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向日「梓!」
梓に向日が追いついた。
梓「あ、岳人。どしたの?」
向日「どしたのじゃねーよ。お前、一人で行ったら迷うだろ」
梓「迷わないよ」
梓がムスッとして答える。
向日「あー、くそっ、悪かったよ。
それより、一緒に行こうぜ。一人より二人の方が楽しいって」
梓「…そだね。
確かに一人ってつまんないよね。
うん、一緒に行こ」
向日「おぅ」
梓「…ねぇ、岳人。言っておきたいことがあるんだ」