テニスなお姫様もどき
□第7話 森の〇〇さん
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急に梓が真剣な顔付きになる。普段の梓からは想像出来ない顔だったので向日は動揺する。
向日「な、なんだよ…」
梓「…アタシね、岳人のこと…」
向日の胸の動悸が高まる。
梓「だいっっじな…
友達だと思ってんだよ。
だから、これからも仲良くしてね」
がくっと向日がこけたのち、多少落ち込んだ。
向日(大事ってのは嬉しいけど、友達かよ。ふ、複雑…)
梓「ね、岳人。
アタシたち、トモダチ、でしょ?」
向日「…あ、ああ…
(…もしかして、今言うべきなのか?
梓のことが好きだって…。
折角の二人きりだし、ジローの奴もいないし)」
梓「…。
いっくぜ、岳人!
散策じゃあ!!」
向日「え、えっ!?」
見事に告白チャンスを失った向日だった。
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忍足「なあ、夏希って長澤先輩のこと好きなんか?」
夏希「ハア?
なんだよ、突然。
確かに好きだけど、何?関係ねぇだろ」
夏希の言葉に忍足と宍戸がショックを受ける。
宍戸「…そ、そうなのか」
夏希「…ちょっと待て。
あたしは恵さんのこと好きだけど、そういう好きじゃなくて一人の人間としてだ」
忍足「ほんまかいな」
夏希「当然だ。変な誤解すんな。恵さんに迷惑がかかるだろ」
宍戸「そ、そうか」
宍戸と忍足の二人はほっと胸をなで下ろした。
夏希「あの人は、憧れなんだよ。凄く格好良いんだ」
夏希が笑う。二人はこれまで夏希のこんな笑顔を見たことがなかったのでどきどきした。
宍戸(って、本当に安心してて、いいのか?)
夏希「さて、あたしも写真撮るから行く」
宍戸「おぅ…」
三人はまた歩き始めた。
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澪菜「ふぅ…こんなものかな」
数枚の写真を撮り終えた澪菜は一息つく。
澪菜「それにしても、綺麗な所だな。
立海のみんなも誘うべきだったな。
……恵くんも来れればよかったのに」
澪菜がふっと溜め息をついたとき、カサカサ…と、茂みを掻き分ける音が聞こえた。