テニスなお姫様もどき2

□第34話 ただいま
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向日「それは……その…梓はいつも笑ってて、可愛くて…」


忍足「そんな梓が大好きで…?」


向日「そう……って、何言ってんだよ、侑士!」


向日は忍足に向かって叫ぶ。


菊丸「向日、うるさい…」


忍足「岳人。何照れとんのや」


梓「嬉しいです。私も岳人のこと大好きですよ」


向日「えっ…」


梓「勿論、侑士だって大好きだし、ジロー、亮……ここにいる皆、大好きな友達です」


梓の友達宣言が向日の心にぐさりと刺さる。

正確には、刺さったのは向日だけに限ったことではないが…。


忍足「おおきに。俺も梓のことええ友達って思とるで」


梓「ありがとうございます。また勉強教えてくださいね」


忍足「ええけど…。んー…、何か調子狂うなぁ」


菊丸「やっぱり梓はいつもの梓がいいにゃ」


和巳「分かってるじゃねぇか。女は少し馬鹿なくらいが可愛い」


スッと梓と菊丸の間に人影が現れる。


それは和巳だった。


和巳「エミも…ああ、俺の婚約者な。あいつも少しばかり抜けてるんだ。けど、そこが可愛い」


誰も和巳の好みや婚約者のことなど興味はないが、勝手に語る。


和巳「……それで、俺が何を言いたいかと言うとだな」


まだ話は続きそうだった。


菊丸「それよりさ、梓は何でこんな風になっちゃったんだろうね」


菊丸の質問に、和巳は話を中断して答える。


和巳「何を言ってるんだ?越前のせいだって聞いたぞ」


それを聞いて、周りの者が一斉に右方向を見る。

そこには欠伸をしている越前がいた。


越前「ん、何っスか?」


菊丸「どういうことだよ、おチビー!」


越前は全く話を聞いていなかったらしく、きょとんとしている。


和巳「ゴホン。

ともかく、俺の出番だ」


和巳はわざとらしく咳ばらいをして、スッと小瓶を取り出した。


和巳「俺の作品、『モトニモドルンK-0056試作型』だ。

これを梓に飲ませれば大丈夫だ」


切原「大丈夫って…、ありえない色してるっス」


切原の言う通り、小瓶の中の液体は、そこらの絵の具を適当に混ぜて薄めたような色をしていた。


和巳「それはまだ試作型だからな。

いいから…。梓、飲めよ」


和巳は梓に小瓶を渡す。
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