はなし

□夜中2時
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夜中の2時ごろ。
彼はポロポロとなみだを流していた。冷蔵庫の隣でこっそり三角座りをして。

「ぽそ…ぽそ」

正直、全部は聞き取れなかったけれど彼の暗い過去の話。エッダ君の言いたいことは痛いほど伝わってきた。

「悲しいのね。」
わたしはそう言って、彼の頭のつのをなでた。泣くエッダ君をみてよく、ぐずるロザリーちゃんを思い出した。あのこはわたしのお膝にいつでもチョコンと乗ってくれる可愛い子。
そして連想的にター子ちゃんも思い出した。元気で明るい小学生。たしか「もうあのうちいやや!家出したる!」とか言ってたけど大丈夫かな…。

「…イズミ絶対他の人のこと考えてた。」
「え!…ご、ごめん、ね」
「いいよ、それより…おれ…ご、」
彼の言葉を遮る様に抱きしめてあげた。ずっとギターを弾いてる彼の手もわたしを抱きしめ返してくれた。
耳元でささやく会話。
「イズミのお団子頭おいしそう」
「えー?なにそれ。それよりエッダ君の前髪伸びたね、明日オフだから切ってあげる」
「おれ、オフじゃない」
「じゃあ明後日」
「ん。」


「エッダ君、「好々爺」って知ってる?」
「知らない」
「じゃあ、「ダイヤモンド富士」は?」
「…知らない」
「ううーん!じゃあ、どっちが知りたい??」
「こうこうや、」
「好々爺って言うのは……」





子供のような大人の会話はきらきらと光る。

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