はなし

□役割
1ページ/1ページ


女性はそれは丹念に真っ白な布で剣を拭いていた。拭いても拭いてもとれない血はとても光った。

「そんなことは宮遣いにでもやらせておけばよかろうに。」

ふと女性の真後ろから男性の声がした。

「貴方様」

女性は一心不乱に動かしてた手をとめ後ろを向いた。

「いいえ。恐れながらこの事は私の役割だと…」

「なぜじゃ」

女性は刹那目を閉じ考え込んだ。が、凛と視線を男性に向けた。その視線には敬意と母性があった。

「貴方様の剣には沢山の方々の魂が宿られてましょう。……それを慰めるのは、私の役でありたいのです。」

目をまた閉じ、血生臭い魂の宿り場に1つ接吻した。
そして女性はゆるゆる立ち上がり、もうこんな時間おややにごはんを。と呟きながら大間を出て通路に出た。剣はだいぶ赤色が落ちていた。

「……事柄に置いてあやつは間違えとりゃせんか、」



一人の剣士はため息を落とした。

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ