はなし
□冷たいと熱い
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生まれたてのお花達。
それはすべて青い色をしているもの、それから各々好きな色になっていく。私の目の届かない地で静かに私の歌をまっている。そう、成長を促すために。生命を数えるために。
すべての子(花)に優しく歌ってあげることが私のお仕事。
近頃お花の様子がおかしい、理由はわかっているわ。
またあの人の気配を感じる。
「元気か、ダイアナ」
青い花に対比するかのように赤い衣類をまとうあなた。
「また、あなた…!ここにきてはだめだと言ったでしょう、あなたのくる場所では、ないわ」
「悪いな、俺はほしいと思ったものはすべてこの手で奪ってきた。お前が俺のところにくるまで何回でもここにきてやる」
花々はしょんぼりと俯いてしまっている。花は強風よりも乾燥よりもわがままな人に敏感だから…。
その気持ちが伝わったのか、あなたは急に言った。
「まぁいい、今日のところは帰る」
くるりと背を向けたあなた。小さな花を踏まないように歩く姿に、ほんの少し、微笑んでしまった。
そして振り向きざまに一言、
「あぁ、言ってなかったな、愛してるダイアナ」