はなし
□肖像画
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「あなたが、ダイアナさんだね」
「え、ええ…。」
辺り一面に広がる青い花々。それに映えるような美しいひとりの女神。時刻は灰色猫の料理店に、ランプが灯すころ。今日も一日平和に終わった、と安堵していた女神は突然の訪問者に驚きを隠せなかった。
「(また、人間ね。おかしな海賊さんといい、どうも最近お客様が多いこと…。)」
目の前にいるのは、緑のベレー帽から白髪がときどき見える老人だった。眼鏡をかけ、お世辞でも裕福そうには見えない姿だった。
「ご用件は?そして、あなたはどなた様かしら。」
「用件は、ジョリー様からあなた様の肖像画を描くように命ぜられたのです。私は、名乗るほどでもない絵描きでございます」
いきなり長くしゃべったせいか、老人はごほごほごほ、と咳き込んでしまった。ダイアナは慌て駆け寄り老人の背中を優しくさすった。
「大丈夫ですか、?」
「あぁ、どうもありがとうございます、ところであなた様の肖像画を描いても宜しいですな?」
「それは、…」
ダイアナは老人の瞳がまっすぐ自分にむけられ、とても断れなかった。どうしても自分を描くつもりなのだわ、と思った。
「分かりましたわ、お受け致します。」
「おお!では、さっそく…そちらの花畑をバックにして描きたいので…そう、そこで座って下され。ああぁ、動かないで」
老人はあれこれ注文をつけて、ようやく絵を描きはじめた。
「(海賊さん…次に会ったら時、どうなるか理解できてらっしゃるかしら!)」
一ヵ月後
「ダイアナ、罪な女だぜ…」
ジョリー船長の船の自室には、立派なダイアナ女神の肖像画が、飾られた。
その肖像画は写真よりもはるかにダイアナ女神に、似ているのだった。
「わあ!すっごく似ていやすね、おやぶん!!」
「そうだろう!そうだろう!!とくに、この口元なんかが…」
・肖像画・
ジョリー船長×ダイアナ女神