はなし

□けしごむ
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けしごむを落としてしまった。なんてことはない早くひろってしまえばいい話だけど、今のわたしには難しいことなのだ。その落ちてしまったところが、前の席の足元だった。踏まれそうで踏まれなさそうな位置。前の人は気ずかない。


授業が終わるまであと少しだからこのままにして授業が終わったら取るというてもある。
しかしけしごむが気になってしょうがない。
前の席の人に取ってもらうという手もあるけれど前の席の人が話をしたことがない男子で話かけにくい。

…どうしよう。
とぐるぐる考えていたら前の席の人の隣に座ってた、なかじ君が自分のけしごむを、わたしの机の端っこにものすごい早さで置いた。置いて、なかじ君は寝たふりをしてしまった。
わたしはしばらく呆然として、この授業では結局、落としたけしごむもなかじ君のけしごむも使わなかった。



・けしごむ・
なかじとさゆり。
スローテンポ。スローテンポ

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