はなし

□真冬12月17日
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・真冬12月17日・



あの方は、とてもお忙しそうにしていたのです。
今日は西の方へ地の神様に挨拶されに行くそうです。
今年いっぱいは、お休みが取れないのではないでしょうか。
また新しい年が始まって数十日は安息はできないでしょう…。

わたしは、七夕の精だから今の時期はそう忙しくありません。

だから、他にも手の空いている妖精さん達(桃の節句の妖精やこどもの日の妖精)で、手分けして今年1年お疲れ様でしたの気持ちをこめて、御宮様のお掃除をしたり、1人1人守るべき場所を守ってられるお地蔵様のお身を白布でお清めをしたりするのです。

わたしは今日、お地蔵様のお清めをする当番でした。


「昨年は…お供え物のお団子食べてしまって、本当にごめんなさい…」

「いいや、いいや、いいんだよ、七夕の幼子。それよりすまんがもう少し、右下の肩を洗ってくれんかね?」

「はい、ここですね!」

「うむうむ」

右下の肩を優しく拭います。
お地蔵さまとお話をするのはとても楽しいのですよ。

普段の七夕に関するお仕事……たとえば、短冊作りや、天の川のお掃除、天女様の身の回りのお世話、も大好きですが、年末の特別なお仕事も大好きなんです。

「ところで、七夕の幼子、」

「はい?」

「そなたは、智羅と仲睦まじいようだね。」

胸が高鳴ります、お身を清めていた手が止まります。

「そ、そ、そんなことは…」

「ははは、いいのう若い衆は」

「で、で、ですからそういうのは誤解ですよっ」

あたふたしどろもどろのわたしを見て、お地蔵様は高らかに笑う。

「智羅ならば、今の日、ここに来る予定じゃ……噂をすれば。」

「!」

バサバサ
バサバサ
頭上から、羽根の音。
智羅さんが優雅に舞い降りる。



「さらさ、か」

「、こんにちは」

「あぁ」

一瞬目が合ったけれど、智羅さんはすぐにお地蔵様へ視線を移す。

「何か御用ですか」

「いいや、新しい年が始まる前に、智羅の顔を見おさめしておきたいと思うてな、忙しいところ申し訳なかった。」

「…この上なきお言葉、」

「智羅、頼まれついでに、東山の宮門がひどく汚れてるんじゃ。すまぬが、七夕の幼子と一緒に掃除をしてくれんか。頼む。」

「承知」

智羅さんとお地蔵様の会話はトントントンと進みます。わたしは茫然とお二人を眺めているだけです、でも…
わたしと智羅さんが東山の宮門をお掃除行くことが決まっ、た…?


「何を呆けている、行くぞ」

「あ、は、はい!」

智羅さんはバサバサお空を渡ります。わたしはその後ろを必死に追
いました。

刹那、わたしは後ろを振り返って、お地蔵様を見ました。

お地蔵様は、ウィンクなされました。


「有難う御座います…。」
わたしは小声で言いました。









・あとがき・
空さらもいいですよね〜〜(←
第一声が空さらかよ!

智羅さらは冬場かならず書きたくなるです。フォレストスノー聞きながらポツポツ書きました。

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