はなし
□元気の出るスープを作りましょう。
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「私、アルビレオさんが元気になるような美味しいスープ作ります!」
ロザリーはねこむ猫、アルビレオの両手をギュっと握って何かを決意したように叫んだ。
・元気の出るスープを作りましょう・
「いえ、そんなお気を使わないで下…」ロザリーはアルビレオの声を最後まで聞かず、勢いよく扉を開け、キッチンまで向かった。
彼はポツンとベットの上で彼女が飛び出していった扉をしばらくぼんやりと眺めた。
数分たって「はぁ」とため息をもらし、目をつむった。
頭が痛い
寒気がする
体のふしぶしが痛い
喉がひりひりする
そう、彼は風邪をひいていた。歩くのもままならない。
今日はお客様には本当に申し訳ないと思ったが、看板をcloseにする他なかった。
そそくさと寝ようとベットに向かい、横になった瞬間お店の常連さんでもあり、小さなお友達でもあるロザリーが心配してやってきたのだ。
そして冒頭に戻る。
ロザリーはぐつぐつことこととお鍋を一生懸命混ぜていた。その中には、キノコや林檎、木の実………といろいろなものを入れた様子だ。
「(ママが教えてくれた元気のスープ、絶対作るの!)」
彼女の蛇たちもムニョリと動いて、何やら果物、調味料を入れていく。
「あとは…この黄色い粒を入れて…出来上がり!」
お鍋の中はロザリーの髪の色と一緒の色をしたスープがあった。
何時間眠っただろうか、起きたらあたり一面が真っ暗だった。
ふと下に目をやると自分が寝ていたベットの下にロザリーがすやすやと眠っている。
「おやおや…」と言ってアルビレオはロザリーに毛布をそっとかけた。
優しいスープの香りに気づき、机の上を見た。紙の切れはしもあり、「起きたら食べて下さい」とだけ書いてあった。
「ロザリーさん…」
正直スープの色は恐ろしいものだった、が、彼女が自分を心配して作ってくれたスープだ。
おそるおそる一口、口に入れた。
「…!これは…!」
昔むかしに自分の母が作ってくれたスープにそっくりだ。そっくりと言うかそのままだ。これを長年作りたいと思っていたが、レシピを残さず母はいなくなった。
もう2度と口に出来ない味だと思っていた…のに。
たっぷりお皿にあったスープはすぐに終わった。
眠るロザリーの頭をゆっくり撫でながら、
「有難う御座います、ロザリーさん。起きたら是非作り方教えて下さいね。」
と小さな声で呟いた。
(では、お礼にロザリーさんの好きなアップルパイでも作りましょうか。)
○○○
チン太様へ…こんなもので良ければどうぞです…!
3万打リクエスト、「アルビレオのお店で怪しげなスープを作るロザリー」でした!
ロザリーとアルビレオの可愛いコンビすてきです…///
森!料理!と二人は接点多いですね…!
リクエスト有難う御座いましたー!