冥王の口付け
□リアル〜序章
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亮はまた学校から帰ってはパソコンの電源を入れてまたあの世界にログインする。
リアルのこの家には待っていてくれる人はいないけど…
この世界には待っていてくれるみんながいる。
今日は一人ではいたくない。父さんも母さんも俺の誕生日なんか忘れてるんだろうな。
ハセヲ足早にホームへ入る。
「ハセヲ、お誕生日おめでとう!」
みんながそう言って出迎えてくれた。タビーは勢いあまって抱きついてきた。
「ありがとう…でもなんで知ってんだよ」
なんで知ってたかはわからないけれどすごく嬉しい。
プレゼントのアイテムを貰うハセヲの顔は普通だけど誰もがリアルでは真っ赤になっていることが想像がつく。
「ところでオーヴァンは?」
「オーヴァン?ハセヲの誕生日を教えてくれた張本人なのにどこいったんだろう?」
志乃は首を傾げる。
―バタン
オーヴァンが珍しく息を切らして入ってきた。
『オーヴァン!』
「…ハセヲ、放置でもログアウトでも何でもいい。玄関まで来てくれるか?」
「?、とりあえずちょっと行ってくるわ。」
ハセヲはログアウトして玄関へむかった。