冥王の口付け
□リアル〜会社に届けもの
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今日は学生は休みな土曜日。しかし亮は家でくつろいでは居られなかった。
「駅はここでいいな。」
雅人が忘れた書類を届けに高層ビル街に来ているのだ。
「あ、ここだここだ。」
中に入るとお昼時のせいか人が歩いている。
「どうかしましたか?」
女性社員に声をかけられた。
「雅人…じゃなかった犬童にこの書類を渡したいんですが。」
「う〜ん、君可愛いからお姉さん達が一緒に探してあげましょうか?」
「えっ、あの…」
そう言って肩に手をかけられたら後ろから腰を抱かれた。思わず見上げるとやはり眼鏡がよく似合うミステリアス系なインテリ。
「雅人。」
「犬童さん」
「俺の連れに手を出さないでもらおうか。」
少し睨みを聞かせると雅人の登場に驚いていた女性社員はいなくなった。
「いきなり現れるなよ、びっくりするだろ。はい、忘れ物。」
雅人に渡す。さっきとはうってかわったいつもの声で頭をなでる。
「ありがとう、亮」
「大した事ねぇよ」
なんとなく嬉しくなって返事をする。