まとめてみる

□happy life
1ページ/1ページ

“ただいま”と言うと、“おかえり”と返ってくる。
当たり前だけど、ずっとずっとそれを望んでいた。
夢見すぎなのかもしれない。
本当にそんなことがあったなら
幸せすぎて死んでしまうかもしれない


−happy life−



「ただいまー」
「…おかえり」

勢いよくドアを開くとリビングソファーでナッツが本を読んでいた。
今のナッツには迂闊に声を掛けない方がいい。
読書の邪魔をすると機嫌が悪くなるから。
シロップもそれをもう知っているみたいで、ナッツ一人がココの帰りを待っていた。
ココは奥の部屋へ上着と鞄を置くと、紅茶を淹れる準備を始めた。
朝のしおりの位置と今読んでいるとこからすると、昼も食べずに読んでいたのだろう。
静かな部屋にたまにカチャッとガラス同士が生み出す音が響く。
しばらくしてお盆に2人分のティーセットを乗せてリビングへ戻る。

「ナッツ、お茶淹れたけど」
「あぁ…ありがとう」

ココはそれでもまだ本から目を離さないナッツの後ろに回り込み、本を取り上げた。
とたんにナッツの顔が変わる。

「返せ」
「だーめ!ナッツ本読んでてお昼ご飯食べてないだろ」

ぴたっと、ナッツの動きが止まった。
図星だったんだろうな。

「もう一度言う。返せ」
「じゃあ何か少しお腹に入れてから。倒れるよ?」
「平気だ」
「平気じゃないからいってるんだろ?いま軽いもの持ってきてあげるから」
「豆大福がいい」
「胃が痛くなっても知らないよ」

ふいっとナッツがそっぽを向いた。
これが世に有名なツンデレですか。

ココは小さく笑ってから冷蔵庫を覗いた。

「豆大福…ないけど」
「買ってこい」



それでも許してしまうのは
それは僕が君を好きだから。
どんな事があっても
きっと許してしまうんだろう。
でもこれは、僕が望んだこと。
こうありたいと願ったこと。
いつかはこの幸せも
無くなってしまうのかな。

今、僕たちと一緒にいる幸せさん
もう少しここにいてください。

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ