めいん。

□●ただ、どうしようもなく
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『ただ、どうしようもなく』

11月も中旬だと言うのに、まだ暖かい日が少なからずある今年。

今日も快晴で、日向は寒さなんて感じさせないほど。
放課後の校庭には半袖で走り回る子どもだっている。

どうやら『子どもは風の子』は健在のようだ。



すっかり小学生生活に馴染んでいる彼も、いつもの3人組と一緒になって遊んでいる。
元々彼は運動部だったのだし、体を動かすことには変わりないのだからそれでいいのかもしれない。


私はと言えば、校庭の端にあるタイヤの遊具に座り、本を読んでいる。

暖かな日差しが気持ちいい。

だけど、少しだけ。
彼らの楽しそうな顔を見ると少しだけ、羨ましく思う。







「あっちぃ〜」



そんなことを思っていると、彼は必ず私のところに来てくれる。


彼なりの『何か』を察して、絶妙なタイミングで隣に座る。



でもこれは私だけに限ったことじゃない。
他の誰かがそうなっていても、彼は隣に行くのだろう。




彼は、そういう人だ。






「コナンくーん!どうしたの〜?」

「まだやろーぜ!」


「もう降参ですかー?」



口々に叫ぶ声が聞こえる。
彼らはまだ遊び足りないようだ。


「バーロー!ちょっと休憩するだけだ!」




そう叫び返して、



「ったく、アイツら容赦ねぇなぁ…」


と愚痴をこぼした。


「あら、サッカーは得意じゃないの?」

「3対1だぜ?いくらなんでも無理だって」




彼が抜けた後も、彼らは楽しそうにボールで遊んでいる。
体の小さい彼らの何処にそんな体力があるのだろう。







「…なぁ、灰原」



しばらくその様子を見ていた彼がポツリと言った。


「なに?」


「プレゼントに貰ったら嬉しいモノって何だ?」










一瞬、心がざわめいた。

でもすぐに理解する。



「毛利さんへのクリスマスプレゼント?」


「……よく判ったな」


「それくらい判るわよ」



彼らしくない相談は、だいたい彼女絡みの話だ。

もっと言えば、彼女が相手じゃないとそんな悩みは生まれない。




「でも、相談する相手を間違えたわね」


「そうは言ってもよ、灰原ぐらいしか相談できるヤツいねぇだろ」


「…それもそうね」







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