めいん。

□●ただ、どうしようもなく
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秘密を共有していることが、いつしか私の喜びになっていた。

『2人だけの秘密』なんてロマンチックなものでは決してなく、むしろとても生臭いものだけれど。
それでも彼と繋がっていられるから。





でもこの『秘密』が彼を幸せにしないことは判り切ったことだった。

私が彼との繋がりを大切にすればするほど、彼は幸せから遠ざかる。









気付いた瞬間、この恋は終わっていたのだ。











「…私がサンタクロースになれれば一番いいのかもね」


「は?」


「解毒剤を完成させて、貴方にあげる。貴方は、毛利さんにこれ以上ないプレゼントをあげることが出来る」




どう?と彼に振ると、失礼なことに彼は笑っていた。




「何よ」


「いや、オメェも案外かわいいこと言うんだなって」


「それ、褒めてるの?」


「当ったり前だろ」




そう言いつつも、まだ笑っている。全く失礼な話だ。






「でも」


不意に笑うのを止め、空を見上げる。






「そうなったらアイツ、喜ぶだろうなぁ…」









遠くを見つめる瞳。

その先に私は映ることはできない。



でも、それでもいい。




私はそれでいい。








手を繋ぎたいとか


キスがしたいとか


一緒になりたいとか



そういうことじゃなくて。







ただ、

ただ、どうしようもなく




貴方が好き。







それで充分。













END


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