めいん。

□◇無神論者たちの聖夜
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――僕も同じようなもの、か。



だからコイツが嫌いなんだ。








「…ねぇ」


カチャカチャと食器の触れ合う音をさせながら、ルーティが口を開く。




「何でみんなは楽しいと思う?」

「…は?」

「どうしてあんなに楽しそうなのかしら?」




手を止めて勝手にカーテンを開いたから、何を指して言っているのかやっと判った。

外は相変わらず眩しい。




「…ただ騒ぎたいだけじゃないのか?」


窓から目を逸しポツリと答える。
率直な感想だ。
そうとしか考えられない。
お祭り騒ぎが好きな連中の理由付け。そんなところだろう。



「なるほどねぇ」

「…そういうお前はどうなんだ」





口にしてからしまったと思った。
しかしもう遅い。
案の定、心底楽しそうな表情を向けられる。



「あら〜? アンタが私に意見求めるなんて珍しいわね」

「そんなことは関係ない。質問に答えろ」





まさかこの景色から同じことを考えるヤツがいるとは思わなかったから、などとは口が裂けても言えない。


少しだけ震えた気持ちを心の奥に仕舞い込む。




そんな僕を余所に、ルーティはそうねぇ、と呟いて窓の外に目を向けた。


いい加減カーテンを閉めたかった。
窓に近寄ったその時。








「私は、一緒に祝える人がいるからだと思うわ」







あまりにも無感情なその声は、僕を掴んで離さなかった。
思わずルーティを見ると、視線はまだ窓の外。


――ああ、またその瞳。







だからこんなにも苛立つのか。
目を閉じ、耳を塞ぎたくなるのはそのせいか。







………馬鹿馬鹿しい。




そんなものに憧れることなど、当の昔に止めたではないか。








「だからね」




その言葉に我に返ると、ルーティは僕の方を見ていた。
その目は先程のものとは正反対の色をしている。

はい、と渡されたのはホットチョコレートが注がれたカップ。





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