Be happy together
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「主等の母親を殺したのは妾じゃ。」
「っ、んなことァ知ってんだよ!何で殺したんだ!!」
「……。」
「私からお話ししましょう。」
アゲハが黙っているとケイが口元の血を手で拭いながら寄ってきた。
「なっ、ブラック☆スターは!?」
「彼ならアチラです。」
ケイが指差した方向には倒れているブラック☆スターがいた。
「…随分、時間がかかったようじゃな。」
「そうですね。アゲハ様が真実を話されるおつもりならば私はまだ戦っていたことでしょう。」
「?…どういうこと?」
「つまり、アゲハは真実を話すとは言ったが、本当の真実を話すつもりはなかったってことだ。」
「カイト様、ユイ様。
それと、ソウル様。これから私がお話しすることは全て真実です。落ち着いて聞いて下さいませ。」
「待てケイ。妾に逆らうのか?」
「私は貴女様の幸せのために生きております。
話し終えたらどうぞ殺してくださって構いません。」
「…、」
ケイがひと呼吸おいてから話し出す。
「アゲハ様が貴方がたの母親を殺したことは事実です。しかし、アゲハ様は貴方がたの母親に頼まれ殺したにすぎません。」
「!?…頼まれた?」
「そんな話信用しろってのか。オレは見てんだぞ。
テメェがお袋を殺すのをっ…!」
「それがアゲハ様の失敗でした。
カイト様に見られてしまってはもはやどんな理由であろうが、言い訳にしか聞こえません。
ですからアゲハ様は悪役をすることとなったのです。」
「待って!どうして殺してほしいなんて頼まれたの!?」
「ご病気だったのでございます。」
「病気?」
「助かる見込みはなく、後はただ死を待つだけだったのです。」
「だからってわざわざ自分から殺してほしいなんて、」
「あの人は絶望しておった。」
今まで黙っていたアゲハが口を開く。
「もう息子たちに会えぬ悲しみ…。
ただ死を待つだけの人生はイヤじゃと言われ、主のことを妾に託して逝かれた。」
「っ、ざけんな。お前が愛人だったからじゃねぇのかよ!」
「…否定はできぬ。」
「だったらテメェの責任じゃねぇか!病気のせいに…」
「落ち着いて下さいカイト様。もし貴方がたの母親がアゲハ様を恨んでいらっしゃるなら貴方がたを託したりしません。」
「託したってのも嘘だろ!!」
「兄ちゃん、一回話を聞こ。」
「あ!?」
「…だって、ケイ、って嘘つくの下手じゃない…。」
「…カイト。オレも押さえてんだ。少し我慢しろ。」
「…、…早く話せ。」
「はい。貴方がたの母親は、アゲハ様に殺すことと貴方がたを託すことと、もう一つお願いをされたのです。」