小説

□あめ時々アメ
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それは……そう、突然。
突然の出来事だった。


あのホウオウ事件から二年後。
ジョウト地方をのんびりと旅した後、私はホウエン地方を旅していた。
そして、キンセツシティからヒマワキシティへ向かおうとしていた時の事…。
途中ポケギアが鳴った。






「ぇ…誰だよ、こんな時に」






旅立つ直前にかかってきた電話に怒りを少々覚えながら、一先ずポケギアを手にとった。






「はーい、もしもーし?」


『あー…もしもし?俺だけど……』


「……んだよ、ツバキか」






電話をかけてきた人物がツバキだと分かり、私のテンションは一気に落ちる。
それを察したのか、ツバキは慌てた口調で気遣う言葉をかけてきた。






『えっ…まさか、タイミング悪かったとか……?』


「いや、別に構わねぇけど……どうしたんだ?急に」






一先ず話だけは聞いてやろう。
そう思いながら用件を聞く事にする。
……まあ、ツバキからの用件って大概良い事だから良いけどよ。






『あー……とりあえず、まず今どこいた?』


「え?今ホウエンのキンセツシティにいっけど……それがどうかしたか?」


『そ、そうなのか?奇遇だなー。俺も今キンセツにいるんだよ』


「えっ、マジで?!すごっ!!」






ビックリだな……まさかのツバキもこの町にいる宣言か。
ん?でも肝心の用件聞いてねぇな。






「んでぇ…用件は?」


『あー……えっとぉ、なんつーかな……………………………………言って良いか?』


「いいぞ?」


『………………今から、その…………会わない、か?』


「あ?」






えっと……これはどういう意味なのだろうか……。
えっ、これってまさかの…。






「それは……デートと受け取って良いのk」


『んじゃ今から迎えに行くから、ポケモンセンターにいてくれっ!んじゃ!!』


「ってゴラア!!お前、いきなり私の話を途切れさせんな」






ブツッ、ツーツー……。






「……切りやがったか」






さっきの前言撤回。
災難にも程がある……。
第一、いきなり旅の途中でデートに誘われるとか誰が思うか?
しかも…私は今ちょうどポケモンセンターにいる。今頃ここに向かって必死にあいつは走っているだろう。







「全く……」






どうにも落ち着かないし解せないが、動くわけにもいかないのでそのままツバキを待つ事にした。




*
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