小説

□誓いの木
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いっぱいの、色。

その中でも特別な……アカとミドリ。










「カエデとモミジさんの目の色って、赤色だよな」


ここは、ワカバタウンにある私……カエデの家。
ツバキと久々に家に帰ったら、「たまにはゆっくりして行きなさい」と母さんに言われ、そのままのんびりとしている。


「あー…まあ、姉妹だし?そこら辺も遺伝したみたいな…?」
「そうか。トウヒは黒っぽい…………青?」
「青って言うより濃い藍色みたいな感じもする」
「あ、なるほどな」
「で……いきなりどうしたんだ?」
「いや?気になっただけっていうか……」


なんだそりゃ。
それだけ言い、とりあえず母さんが持って来てくれていたジュースを飲む。
そして…そこから会話が中々続かない。
って言うか、最早これ会話として成立してないような気が……。
とりあえず、何かは言わないとまずいな。
何かは………。


「……なぁ」
「ん?」


このまま沈黙を続かせるわけにもいかないので、とりあえず話し掛ける。
が、そこから何の話をするか考えていなかったので、また沈黙へと逆戻りしそうになってしまう。
…とにかく、何かは喋ろう。何かは。


「……ツバキの目の色はさ…緑色だよな」
「ああ、親父がそうだったみたいだな。かなり前に聞いた事ある」
「おじさんって……かなり前に旅に出ちゃったんだっけ?」
「……らしいな。親父の記憶なんて、全然ないからさ、何とも言えねぇって感じ。そういうカエデんトコの親父さんも…」
「そうそう、娘二人もいるのに行方知れず。今頃どこで何やってんだか」


そこからは、お互いの家族の事や思い出話。旅の最中にあった出来事……色々な話をした。
そして、話は盛り上がりを見せていたが、時刻は夕方を示している事に気付いた。


「あ、もう夕方じゃん」
「早いなぁ…。そろそろ帰るか」
「あ、なら送って行こうか?」
「いいのか?」
「だいじょぶ、だいじょぶ。…でさ」


そこで一度言葉を止め、ツバキをちらりと見る。
すると、ツバキもこちらに視線を向けた。


「……送ってくついでに、寄りたいトコが…あるんだけど」



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