サモン小説

□○舎に止まろう
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「御主も人が悪いのう?便りの一つでも送ればよいのに」

縁側で日光浴を楽しむ俺に里の主は茶を運んできた。こういうのはキュウマの仕事だと思っていたのに今日はいないのだろうか。

「妾かて茶ぐらい煎れられる、馬鹿にするなえ?」

生粋純正の箱入り娘だと思っていたが、旦那(古)と息子がいるんだから出来て当然か。

「それにしても久しぶりじゃのう…二年ぶり位か」

陽光に目を細めながら昨今起きた事件を回想した。結局、あの時のゴタゴタを片付けるのに長い時間がかかった。再び島にいく決心をすることも含めて。

「して、いつまで島にいられるのじゃ」

俺の顔を覗き込むように尋ねてきたので少し慌てた。きめ細かい肌と上品な黒髪が、手の届く位置にある。平常を装って期間を告げると、少し残念そうな顔をした。

「将兵に暇がないのは、どこの世界も変わらんの…茶菓子を忘れておったな」

ゆっくり立ち上がったミスミは、座敷の奥へと歩いていった。暖かい陽光に長閑な庭園、豊かな緑。久々の骨休みができると、俺は両手を伸ばして間抜けなあくびをした。
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