モノクロ世界

□出逢い
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「わぁ〜楼っドキドキするね〜」

輝羅は声を少し静めている。

「勝手にしてろ」

輝羅はひょこっと顔を出して教室の中を見ようとした。
あともう少し・・・と思った矢先・・・

「あなた方はどちら様でございましょうか?」

輝羅はその声に驚き振り向いたが、その時はその声が誰のものなのか分からなかった。

なぜなら・・・

「お前のほうが何者だ?」

楼が輝羅を背中に隠したからだ。

「あの寮もこの教室もこの校舎も・・・嫌なにおいがたちこめている

  お前も嫌なオーラを微量だが感じる」

楼は睨んでいる。
そのひとは真っ黒なマントを着ている。
そしてフードを深くかぶっていて顔が見えない。
けれどさっきの声からして少女だろう。身長は150あたりだ。

「…あなた方…いえ あなた様は本当に何者でしょうか?

 わかりません…わかりません…わかりません…わかりません…わかりません……」

狂ったように”わかりません”を連呼する。
輝羅は何があったのかと少し混乱している。

「あのひと…どうしたの…?」

「しるか」

するとようやくそれがなくなった。
だが、安心は出来なかった。
なぜなら…

「そうですよ…わかりました ようやく答えにたどり着きました

  あなた様はわたくし達の敵 わたくし達の命を奪うもの わたくし達よりも獰猛ないきもの」

―ばたん

教室のドアが開いて閉まる音がした。

「バ… んっっ」

誰かがそのマントをかぶった少女の口をふさいだ。

「だめだよ こんなところで大声出したら皆に聞こえちゃうでしょ?
それと、ここの生徒さんたちを困らせちゃ駄目。ね?」

そしてそっと手を口から離した。
マントの後ろから見えるのは銀髪。

「すみません 華王様…」

郁だった。

「反省したのならオッケー」

マントの少女は何処かへ去っていった。

「ところで君達は――…普通科の人だよね?
ここで何してるの??」

郁がそう言うと輝羅はブンッッっと頭を下げた。

「え…? ど…どうしたの…??」

当たり前だが郁は驚く。

「ごめんなさいっ!!
寝坊して遅刻したのをいいことに特進クラス見に行こうって私が思い立って、来ちゃったんです!!」

輝羅がこんなに謝っているわけは校則にある。
普通科の生徒は特進クラスの校舎に入ってはいけないのだ。
特進クラスの生徒は普通科の校舎に理事長室があるので入ってもいい。
しかしほんとにたまーに理事長に用事があった時に来るだけなので…。

郁は黙っている。

「あ…あの―――…」

輝羅が控えめに顔を上げると

「… ねぇ 教室の中…見たっっ!!?」

と、突然聞いてきた。

「え… いや…あの…」

輝羅は何がなんだか分からず挙動不審だ。
楼はめんどくさそうに壁に寄りかかっている。
この状況を見ようともしていない。
興味がないのだ。

「あちゃ―――… 
今術の授業だよ――… 術使ったよ――…」

郁は1人で何か悔やんでいるようだ。
輝羅はボー―っとしていると、

ガシッッ

「よしっ ついてきてっっ」

「えっっ!!?」

郁に腕をつかまれた。

「あーなーたーもっっ!!」

「は?俺は関係ないだろ」

「あるから連れて行くのっ 
 はいっ グチグチ言わないっっ」

楼も輝羅と同じように腕をつかまれた。
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