モノクロ世界

□出逢い
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それから郁が
「じゃあもうしょうがないから、きちんと理事長に報告しますっ!」
と人差し指を立てて言い、輝羅と楼は理事長室へと行くことになった。




「へー あちゃーそうかーばれちゃったかー」

この純星学園の理事長、白宮漸(ハクミヤ ゼン)へと少しの経緯を話すと言葉が返ってきた。

「ねえ ちゃんと真面目に郁たちの話聞いてます?」

「あーうん 聞いてる聞いてるよー」

その返事はとても真面目とはいえないようなものでにっこにこと笑っている。

「郁 この人は真面目という言葉を知らないだけだから仕方ないんだよ」

「あー分かるかも」

郁も蓮も呆れるしかない。

「もうっ 僕は少しでもこの沈んでしまった空気を何とかしようと励んでいるだけだよっ」

でもこの中で一番呆れかえっていたのは輝羅と楼だ。

「楼 この人ほんとにこの学園の理事長?」

輝羅がひそひそ声で聞く。

「一応理事長室だしそうなんじゃないか」

「でさ、ずーっと私達いる意味が無い気がしてるんだけどー…」

「同感」

そう言って二人とも一つため息をついた。


「もうさ、グダグダ言ってないでさっさと説明始めたほうが早いと思うんだけどですけど」

蓮の提案によって話がようやく進みそうな方向にきた。

「そうだね」

理事長は少しきりっとした。
しかしそれは嫌な風に感じられるものではなかった。

これから真剣な話をするんだよというようなものだった。
笑ってなどいなく、さっきのとは別人のように感じられるほどのものだ。


「霧峰君と亜憂さんだっけ?
君達は蓮君や郁ちゃんたちの…特進クラスの秘密を知ってしまったからね、中途半端な知識は危険を伴うんだ

だから全部とまではいかないけど、きちんと知ってもらわないとね」


机に肘をついて話し出す。
静寂が辺りを包んだ。


−TO BE CONTINUED






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