モノクロ世界

□自己防衛の方法
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今日はあのバスケットの試合の次の日。
午後1時43分。
只今郁は普通科女子寮の前に来ています。

何故かというと、とあることから郁達の秘密を知ってしまい、
とあることから闘いにも身を投じなければならなくなってしまった二人を集めて、ちょこっと色々とやろうということになったからだ。
だから郁は輝羅を。蓮は霧峰くんを呼びに行くことになった。
まぁ、男子は男子。
女子は女子で分かれだのだろうけど、霧峰くんと上手く喋れない郁に、蓮が配慮をしてくれてるんじゃないかと思ってしまう。

蓮は凄いなといつも思ってしまう。
たとえ邪険にされても何にもなかったような顔をして笑って、近づこうとする。

…郁はすぐに怖じ気づいてしまう。
嫌われることが怖い。
…って、もう既に嫌われてるんだけど…
嫌いって感情を向けられるのが怖い。
胸がすぐに痛くなって。
…強くならなきゃいけないよね。


「郁っっごめんね、遅くなって…」

すると女子寮の玄関に輝羅が立っていた。
その少し後ろに女子生徒がひとり立っていて、ぺこりと頭を下げたから、郁も感謝の意味も兼ねて頭を下げた。
その女子に頼んで輝羅をよびにいってもらったからだ。

「ううんっ急に呼び出したんだから…
こちらこそごめんね」

「んーん、結構私ひましてたから大丈夫っ
で、どうしたの?」

郁についていくような形で輝羅も歩く。

「えっとね、そろそろやらなきゃなって思ってたんだよね。
ずっと、また今度…ってずるずる長引かせようとしてたんだよね。
郁も蓮も…」

輝羅はなにの話をしているのか分かっていない様子で郁の顔色を窺っている。

「ごめんなさい。
ほんとは巻き込みたくなかった。何も知らないままでいてほしかった。
…でも、私たちの存在を知ってしまった以上はやっぱり…こうすることが一番の得策なんだ。
あの時は郁も反対したけど…危険なことをさせてしまうことだけど、輝羅たちのことを守る事に繋がる最善の道だと思うから…」

何のことだと具体的に事を言ってはいないが、輝羅は何のことか分かったようだ。
分かった上で、何も言わない、言えない。
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