小説

□隼と言う名の天使
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「なんかさ、
エアラザーっていいよなぁ」

高い崖に腰かけるラットルは何の脈絡も無く、
トランスフォームして空に浮かんでいるエアラザーに言った。

「えっ、何が?」

「だってさ、
背中に羽があるんだよ?
なんか『天使』みたいじゃん!」

「テン… シ?」

初めて聞く単語にエアラザーは首を傾げた。

「天使ってのは背中に羽がある人の事だよ!
エアラザー、隼の羽が背中に来るし!」

ラットルはいいなぁと
うらやましい声をあげて笑った。
それに対してエアラザーは背中の隼の羽に目をやりながら、ラットルに言った。

「背中に羽があると『テンシ』なら、
ワスピーターもだよ。
ワスピーターも『テンシ』なの?」


「違うんだなぁ、
いいかエアラザー!!
天使ってのはな、
背中に羽があるだけじゃない!
心が優しくて純粋じゃなきゃ、
天使じゃないんだ!!」

ラットルは立ち上がり、
珍しく声を張り上げながらエアラザーに熱弁した。

「エアラザーは羽があるからってのもあるけど、
本当に優しい心を持ってるから天使って思うんだよ!」

「…ありがとう。
嬉しいよ、ラットル!」

ニッコリとエアラザーが笑うと、
ラットルは思わず照れてしまい目を下に向けた。

「ま、まぁ一つ勉強になっただろ!?
オイラの言葉、しっかり覚えてろよ!!」

「はいはい。
忘れないよ、じゃあね!」

照れ隠しをジョークと交えて言うラットルに
エアラザーはニッと笑って答えると
ビーストモードに戻り、
ラットルの上を滑空してそのまま飛んで行った。

「じゃあな!」

エアラザーは一瞬ラットルを見ると、
後はそのままスピードをあげて飛び去った。
ラットルは見えなくなるまで手を振り続け
エアラザーが完全に行った後、
自身もビーストモードに戻って崖を下り始めた。

「…もし、
エアラザーがタイガトロンと付き合ってなかったら…
オイラ、マジで好きになってたかも」

独り言をボソリと呟きながら険しい道を
歩くラットルはニンマリと口を上げていた。



〜オマケ〜
「タイちゃーん!!」

「おぉエアラザー!」

「ねぇねぇ、タイちゃん。
『テンシ』って知ってる?」

「もちろん、知ってるでござるよ」

「本当!?
さっき、ラットルに
僕は『テンシ』みたいだって言われたんだ!」

「ふむ…
確かに、エアラザーは天使の様でござるよ」

「エヘヘ、ありがとう!」


END
 

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