夢 小 説 ◆御遊びと混合
□社内恋愛・上司部下漫才☆
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姿勢が大変良く、スッと背筋の伸びた白鷺が無表情でスタスタと舞台へ歩いてきた。
かなり歩くのが早くて、一人だけ先にマイクの前に。
「ちょ…早いですって!」それを追いかけるように小走りで出てきた久留巳も横に並ぶ。
白「……」
久「どーもー『課長&部下』でーす!まずは自己紹介しますね!」
白「私が課長で」
久留巳「僕が部下です。課長はこの通り笑顔の一つもないクールガイですけど、実はとってもハートの熱い男なんですよ〜。
僕はその下で毎日…」
久留巳がしゃべっているのに言葉が上からかぶさる。
白「私が(株)アンフィニット新規事業部第1企画課の課長です。白鷺と申します」
久「で、僕が部下の久留巳です!…って何でまたやり直したんですか?社名出ちゃってるし」
白「自己紹介と言うからにはきちんとしなければと思い、やり直したまでです」
久「…こんな二人でおおくりしまーす♪」
久「早速ですが課長、恋愛はしてますか?」
白「いえ、しておりません」
久「なかなか出会いもなく一日のほとんどがオフィスビルの中で仕事という日々…。
なので社内恋愛なんかもいいっすよね!常に好きな彼女が近くに…」
白「久留巳くん、会社はランデブーをしに行く場所ではありませんよ」
久「ランデブーって!まぁ例えばの話ですよ。
うーんと、じゃあもし彼女ができたらどんなことをしたいですか?」
白「そうですね、スイーツの食べ歩きです」
久「女子か!」
ツッコミらしくバシッと白鷺の頭を叩く久留巳。
白「……」
久「だってスイーツキャラじゃないし…ボケですよね今の」
白「私は至って真面目ですが、何か?そして痛いです」
久「睨まないでくださいよー!ただでさえ目力あるんですから〜」
白「髪が乱れました」
久「しょうがないっすよ、漫才ですからー!」
白「……」
白鷺は乱れた髪を気にしながら手で整えた。
表情が豊かな久留巳に対して、ここまでずっと無表情な白鷺であった。
(表情が変わったのは叩かれて睨んだ時のみ)
久「気を取り直して。僕は彼女ができたらキスもハグもたーーくさんしたいです!人目なんて気にしませんよ」
白「…欧米ですか」
久「え?」
白「人前でそのようなことをするのは、まるで欧米に住む人達のようですねという意味です」
久「まぁ、僕は実際欧米育ちなんですけどね〜。
で、東京タワーのぼって夜景見たりそういうデートがしたいなー。夏ならお祭りなんかもいいっすよね!」
白「お祭りですか…」
久「楽しそうでしょう?あ、でももし社内恋愛しててお祭りなんて行ったら知ってる人に会っちゃったりして!?」
白「それはありえることですね。私に良い考えがあります。あなたは彼女役をやって頂けませんか?」
久「いいっすよ♪まかせてください!」
いきなりコント形式に。
久「わー、お祭り超楽しいね〜!」
白「…もっと上品な女性を演じて頂きたい」
久「えー。わかりましたよ…些細な所までこだわるんだから〜」
白「よろしくお願いします」
久「はい。…お祭り楽しいですねー。課長、次は何食べますか?」
白「…付き合っているのに『課長』はないでしょう。下の名前で呼んでほしいものですね」
久「もー!先進まないじゃないですかー。…ってすごい怖い顔!
いいですよ!下の名前ですね。彼女っぽく。
お祭り楽しいですね!えっと…涼ちゃんは次は何食べたいですか?」
白「涼ちゃん、ですか…。まぁ、ここは目をつぶりますか…。そうですね、次は…」
久「あっ、涼ちゃん大変です!あっちの方に会社の同僚がいます!!どうしよう…隠れます?」
白「いや、落ち着きなさい。私に良い考えがあります。あなたはここで少しだけ待っててください」
久「はい」
白鷺はそう言うと、久留巳を残して再び早い足取りで舞台の袖へといなくなった。
と、思ったらすぐに現れた。
さっきと違ったのはキャラクターのお面をつけていることだった。