short novel.

□◇微睡み◇
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「マジで!?」


お前良かったなーっ!!と嬉しそうに耳をカリカリ撫でる燕青に向かって、ミャー、と満足気に鳴く仔猫を見やった静蘭は些かムッとした。





自分には警戒心丸出しだったのに、何だあの懐きようは。気に入らん。





その旨を燕青に伝えると、燕青は仔猫と服の切れ端でじゃれ合いながら明るく答えた。



「んー、野生の勘で解るんじゃね?お前のタカビーな本性が」


それを聞いて更にムカついた静蘭が再度燕青を怒鳴り飛ばそうとした矢先に、調理場の入口から買い出しから帰ってきた秀麗がひょっこりと覗いた。



「静蘭、燕青、ただいまー!今日は市場で大安売りしてたの!沢山買ってきたから今日はご馳走よーっ!!…………あら?」



勝ち誇ったように歓声を上げる秀麗は、ふと燕青の掌上でコロコロ転がる仔猫に目を留めた。

「可愛い!!」


目を輝かせて仔猫に駆け寄る秀麗。

抱き上げられて頬擦りされながら、仔猫は目を細めて心地良さそうに喉を鳴らしている。


「おっ、お前姫さんの事も好きか?姫さん、コイツは今日から俺の舎弟になったんだぜ」


「あら、随分可愛い舎弟さんね。」

キャッキャッと話に花を咲かせる二人。



「名前はもう付けたの?」


「名前?……えーっと、拾ったのが俺で、姫さんの名の頭を両方とって…………」





―……燕秀、と勝手に命名しようとした燕青の頭を、それまで蚊帳の外に置かれていた静蘭は後ろからポカリと殴った。
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