寄り添い花シリーズ

□寄り添い花
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桐島『溺れる』

☆☆☆☆☆

 その体は明らかにまだ成長途中で、薄っぺらい体部から伸びる細い手足は産毛のような毛がうっすら生えているだけ。


 柔らかな栗色の髪の毛が色白の肌に良く似合う奏太(かなた)はまだ14歳。

 大切な股間も少し生え始めた淡い色の陰毛がさわりと心なしげに揺れるのみ。

 だが、そのほんの少しの陰毛の間にある男の印はピンク色にもかかわらず、痛いほど硬く猛っている。


「あぁ……桐島……あぁ、」

 ベッドに裸のまま仰向けになり、胸の前で柔らかな羽毛枕をぎゅうっと抱き締めながら、猛るものが揺れるほどに体を痙攣させて喘ぐ。

 奏太はもう、どうしようもないくらいに目の前の男が欲しくて仕方が無いのだろう。
 
 綺麗な大きい瞳も、きつく閉じられていて見えはしない。


「っきりっ、しま、ぁ、、っもっとぉ」


 奏太は割られた細足の間に顔をうずめて己を攻めている執事の名を何度も呼んだ。

 155センチの小柄な身体を揺らし、自ら足を広げひくつく穴を見せて、執事の与える快感を享受する。
 
 そしてもっと欲しいと声で訴えるその姿は、14歳とは思えないほどの色気だ。


「奏太さま……」

「……欲しいっ……」

 先ほどまで散々に舌で、指で嬲られていたソコは赤く熟れ切って腐りかけの果実のように怪しく光る。


 裸の奏太とは対照的に、178センチある鍛えた体を隙無く執事服で包んだままの桐島。

 仕事中は絶対外さない眼鏡を、このときだけは外して、素顔をさらしている。

 それは、主人を眼鏡で傷つけない為であったのだが。

 彼は幼い身体の秘部から顔を離し、奏太を見つめて言った。


「……仰せのままに」




*****


 二人の出会いはもう8年近くも前。

 当時6歳だった奏太の元へ執事としてやってきた桐島は21歳だった。

 海外で暮らしていた桐島は飛び級し18歳で大学を卒業。そしてイギリスの執事養成学校を経て、執事の仕事を始めた。

 若いながらも有能だった彼はすぐに有森グループに引き抜かれる。

『なるべく若い方がいい。そして奏太の兄となるような優秀な執事が欲しい』

 愛する息子に仕える執事を探していた有森グループ総帥の言葉にぴったりだった桐島は、奏太に仕えることになった。

 まだ21歳のうら若い執事は、8年後の自分を想像し得なかっただろう。

 主君とみだらな行為にふけることは、言うまでもなく禁忌だった。

 奏太が幼いころ、軽いキスを交わす事もあったが、それはあくまでも家族にするものであった。

 だが、今はどうだ。

 そんな軽いキスではなく、もっと深く、下半身が熱く滾るほどのキスをしたくて堪らない。

 奏太の体を散々揺さぶり、その奥に己の白い印をつけたくて仕方ない。

 奏太が15の誕生日を迎える3ヶ月前、桐島は禁を犯し、彼の体にはじめて触れた。



 溺れたのは、自分だった。

 奏太はただ、知りたかっただけなのだ。

 己の体の変化に驚愕し、不安になり、執事に助けを求めたのだけなのだ。

 早くに他界した母に似て、幼い頃は病弱だった奏太は小学校へは行かなかった。中学もまだ大事をとって行ってはいない。

 家庭教師から学年を越えて勉強を教わっているため問題はなかったのだが。

 しかし彼は、性教育らしき性教育を受けてはいなかった。

 そう、夢精すら知らなかったのだ。

 朝目覚めた奏太が夢精で下着が濡れたことが分からずに、

『ボクはッ!お漏らしなんてしてないッ!』

 と言って羽毛布団にもぐりこんだ時、理性が吹き飛んだ自分はその布団を剥ぎ取って、キスをしてしまった。

 それを今でも後悔している。

 そのキスの後、性に興味を持ってしまった奏太が求め続け、キスだけだったはずの行為は日に日にエスカレートし、あっという間に彼の体の奥まで暴いてしまった。


 幼い体が、初めての快楽の波に揺れる。

 幼い体が、成人の肉を取り込んで果てへ昇りつめ精を放つ。


 幼児と呼ばれる頃から守り育てて来た清らかな体を、己れ自身で穢してゆく快感と後悔。


 愛してるなど囁ける身の上ではない桐島は、ただ奏太の体に行為に隠して想いをぶつけた。


 愉悦の中で「きりしま」と呼ばれるだけで、果てたはずの芯が何度も熱くなる。

 愛しくて護りたくて堪らない主君を悦楽に溺れさせ、自らもまた、背徳に溺れていく。


 一度どろりと溶けてしまった愛情は日を追う事に粘着質を増し、桐島は奏太の望むまま毎晩のように彼を抱いた。

 快感でトロトロになるまで、手で舌で全身で奏太を攻めた。

 小さな蕾が肉を求めてパクパクと熱く収縮するまで……



*****


「あぁんっ、きりしまぁ……入れてぇっ」

 耐えきれずに奏太が尻を差し出す。

 その細い腰を背後から掴み、いきり立ったペニスを埋め込んだ。

 狂暴なまでに太く固くなったソレは、メリメリと音が聞こえるくらいに無理矢理奏太の中へ刺さっていく。


「あぁっあぁっ」


 狭い中に収まると、キュウキュウ締め付けられた。

 それだけで強い射精感が襲う。

「奏太さま……大丈夫ですか?」
 
 執事として主人の体を気遣う言葉を掛けたが、そんなものはただのお飾り。

「ああ……ッうごいてっうごいてぇっ」

 それを合図に桐島は激しく体を打ち付けた。

 肌があたる音と、声変わりもまだな甲高い嬌声と、卑猥なぬめり音が部屋に充満する。

 オーガンジーの柔らかな質感に彩られたベッドが不自然に軋んだ。安眠を約束されたこの場所が欲望に塗りこまれていく。

 主人のベッドの上で主人を組み敷いて我欲を注ぎ込む自分はもう、執事ですらない。

 ただのオスだった。

 求めるのは目の前の少年。

 決してメスでは無いのに、欲しくて堪らない。奏太を見るだけで腰の奥がフツフツと沸き立つのだ。

 だが、奏太にとっては快感を楽しんでいるだけ。一時のお遊びに過ぎない。

 女に目覚め、男など必要なくなるのだ。この関係はいつか終わりを迎える。

 きっとそれは、そう遠くは無いだろう。

 なにより愛の無い行為は、すぐ絶えるものだ。

 そして一方的に思われるのは苦痛でしかない。

 桐島はただの執事なのだから。


 溺れたのは自分だ
 この人の存在全てに
 溺れてるんだ

 だからせめてこの一瞬だけは……



 奥底に疼く奏太へ向けた8年分の歪んだ愛を伝えることなく、桐島は幼い主人の体をむさぼった。


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