Monsterシリーズ
□Monster
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あなたの望み
☆☆☆☆☆
「っあぁっ、、っぁんっ、、マキっ、ぁっはっ、、ふあっ」
さっきから結城さんが俺の体に馬乗りになって動いている。引き締まった色っぽい体を更にいやらしく揺らして
俺のモノに彼の内壁が絡み付いてくる。気を抜けばあっという間にイきそうになるのを俺は必死で我慢していた。
『マキはしなくていいから』
そう言って始めたセックス。俺は怪我をしていたから今日はする気なんて無かった。
彼を思い切り抱きしめることが出来ないから。
だけど結城さんが言ったんだ。
『俺、したいの。だから、今日は俺がするから、怪我してるマキは寝てて』
彼からこんな風に言われたのは初めてだったし俺も好きな人から誘われて断れるほど清い心は持っていないから。
そして今、こんな事になってる。
「ぁあっ、、ダメっ、、もうっ、、っああんっ ぁあっ」
自分で動いて限界まで上り詰めようとしている結城さんがあまりにもセクシーで俺も激しく動きたくなる。
彼の動きにあわせて少しだけ腰を打ち付けてみた。
「ぅあ! っあっあん! っダメっって言ったよぉっっ、ん、っマキっ動かないでっ」
頭をブンブン振って俺を責めてきた。我慢しているのも結構辛いんだけど。
でも、そんなこと、彼は気付かない。
結城さんは自分のペースで快感の波に揺られている。
まるで、俺の体でオナニーをしているみたいだ。
ーズポッパジュッ
「っあっああっ、は、、っんっんっ、っすきっマキぃっ」
潤んだ目をとろりと垂らして、口から俺への想いをこぼれさせてきた。
そんな言葉を聞いてしまうともう我慢できなくなって、俺はついに彼の腰を両手で押さえて上へと激しく突き上げた。
「っあん! っっだめっ! っっすきっすきっ! っマキっっあ! っああぁっ」
何度も好きと言われて止まれるわけは無い。
バジュパンッ、グジュッー
水音と肌のあたる音が混ざった淫らな共鳴音がさらに俺を興奮させる。
「っぁあっ! っだめっ! っマキっすきっ、、!すきっ、、」
体をふるわせて俺に狂う彼を、どうして我慢できようか。
「あっ!っやあっ!っ!っマキマキっだめえぇっっ!ぁあああ!」
彼がイクと同時にきつく俺を締め上げて、俺も我慢した分いつもよりも多く欲望を吐き出した。
力つきた結城さんが俺の胸に崩れ落ちてくる。そして荒く呼吸をしながら意識を飛ばしてしまっていた。
最後は”だめ”と”マキ”と”すき”を言い続けて達した彼が、あまりにも可愛くて愛しくて俺はその体をぎゅっと抱きしめた。
結城さん
俺はいつも不安を隠してあなたのそばにいたけど
俺の姿があなたの瞳にうつる度に
少しずつ
あなたが笑顔になる回数が増えてきて
今は、あなたの笑顔の元が
俺になってると思っていいですよね?
こんなにたくさん好きと言われるなんて想像していませんでしたよ
さっきはあなたの告白に思わず泣いてしまって
言えなかったけれど
あなたの気持ちが変わらない限り
俺の隣にいてください
ずっと
*
ーリリリリリリリリリリ・・・
目覚ましが鳴った。
あれ?
おかしいな。。。。
俺はムクッと布団から起き上がって鳴り響くベルを消し、すぐ隣を見る。
やはり、結城さんが寝ている。
いつもは目覚まし時計よりも先に起きてそれがなった瞬間にたたき消して子供のように満足している彼が、今日はスヤスヤと眠りの中にまだいる。
昨日、がんばって動いたせいかな?
もう7時半だ。
俺は彼を起こした。
「結城さん、おはようございます。起きてください」
「……ん。ぅん……」
少し身じろぎをしただけでまた寝てしまった。
それから何度起こしても、彼は起きない。
仕方なく俺はまず自分の用意をした。俺の方がいつも時間がかかるから。
結城さんは10分くらいで用意ができる。
家を出るのは8時半で十分だからまだ余裕はあるだろう。
スーツを着て今日の仕事の準備を終えて、パンを焼き始めてから俺はもう一度結城さんを起こした。
「結城さん、結城さん、起きてください」
「……ん、ぁ、おは、ょ」
すう、とまた目をつぶる。
「結城さん! 遅刻しますよ!」
「え? あ、、、はいっっ」
俺の大声にようやくふとんから上半身だけ起こしたものの、彼はぼーっとしていた。
「昨日、疲れましたか?大丈夫ですか?」
俺の質問を理解するのにも寝ぼけているのか少し時間がかかる。
「・・・え、、あっっいやっ、昨日は。。。うん。。大丈夫」
かぁっと顔を赤らめてあわてて答えていた。
いつもの結城さんだ。
俺は彼をぎゅっと抱きしめて
「結城さん、好きです」
昨日いっぱい聞いたけど
もう一度、聞きたくて・・・・・・告白した。
「うん、ありがと。俺もね・・・・・・」
彼は俺にしなだれかかって甘い声でつぶやいてきた。
でも続きが聞けない。
・・・・え? また寝てる?
「結城さん? そんなに眠いなら、お仕事今日はお休みしますか?」
こんなに眠そうな結城さんは初めてだった。
「いくよ。。。だってさ、眠いだけだから・・・」
そう言うからしかたなく俺は彼を着替えさせて、ぼーっとしたままで椅子に座らせる。
「結城さん、パン食べられますか?」
「ジュースちょーだい。。。。」
パックジュースを開けて彼に渡すとチューチュー吸って、少し覚醒してきたみたいだ。
「ごめんねぇ。なんか今日は眠いや、、パンいらない・・・もう一本ジュース・・・」
結局ジュースを2本だけ飲んで仕事に行く事になってしまった。
そんな彼とともに部屋を出る。初めて一緒に出社をした。
俺はもう少し後でも良かったけど、なんだかホントに道に倒れて寝てそうだったから。
眠そうな顔のままの彼の隣で、ゆっくりと歩いて会社まで行く。
ビル前まで来たとき、バイク便が目の前に停まった。
「絵都、おはよ。彼のとこから出社してんの?うやらましいね〜」
乗っていた男の人がヘルメットを取って、一言結城さんに声をかけると届け物をもって走ってビル前に溢れる人ごみの中へと消えていく。
彼がバイク便の人? て言うか知ってる?
俺達のこと・・・・
それともからかわれただけ?
それに、結城さんを絵都と呼んでいた。
親しい仲なのかもしれない。
肝心の結城さんは、ぼーっとしたまま「駿・・・おはよ・・」と言っていた。
結城さんを更衣室前まで送って俺は仕事場へと向かう。
昨日は確かに彼が一生懸命がんばってくれたけど、睡眠時間は7時間くらいだったからあそこまで眠いと言うのには何か違和感を感じてしまう。
体調があまり良くないのかもしれない。
明日病院へ連れて行ってみようか。。と俺は思っていた。
「おはようございます」
「おはよう」
「あれ? 課長早いですね。というか、今日はお休みだったんじゃ。。」
「ばーか、俺は昨日からここにいるよ」
その返答に彼をよく見ると確かに昨日のスーツのままだ。課長は準夜勤を終えて夜の12時に帰っているはずだと思っていたのだが。
「どうかしたんですか? なにか問題があったんですか?」
驚いた声色で彼に尋ねれば。
「昨日のおまえらの件でさ、夜に社長がもう少しセキュリティを厳しくしてはどうかと無理難題を言ってきたんだよ」
「・・・これ以上はきついですよね・・」
「ああ、セキュリティのソフト部門はすでにかなり厳しくしているから、あと出来る事を考えたが、、新しい認証機器を導入するしか無いような気がするんだ」
「そうですよね。。今のIDカード認証から、生体認証にするしか無いと思いますね。。」
「そのとおり。だがな、かなりの金がかかるぞ。。生体認証もどれを使うか決めないといけないし」
「指紋。網膜。虹彩。静脈。声紋。顔。これくらいですよね。。生体認証は。。」
「そうだな。。でも指紋は簡単にコピーできるし、網膜や虹彩の認証機器はかなり大掛かりの機械が必要だ」
「もう少し検討してから決めるが、今のところ声紋が手っ取り早いんじゃないかと思う」
「業者に問い合わせてパンフレットと見積もりを頼みますか?」
「ああ、そうだな、よろしく。俺は疲れたから帰る」
「お疲れさまでした」