Monsterシリーズ
□明日の記憶
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明日の記憶
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「おやすみ、マキ」
「おやすみなさい」
いつものように夜をむかえた俺たちは、二人で布団に入り瞳を閉じた。
彼と出会って6ヶ月。
彼が人間でないと分かってからも、俺たちはずっと傍にいる。
不思議だった。
こんなにひと(?)を好きになるなんて、初めてだった。
触れていたい。。。。。
そう思ったら、やっぱり手が伸びてしまう。
もう1時も回っていたのに、俺は彼の肩と腰に腕を回して、ぎゅっと抱きしめた。
「うぁっ、、」
小さなうめき声が聞こえたけれど、そんなの無視して近くに来た耳に噛み付く。
「ぁ、、んっ」
「そんな、色っぽい声出さないで」
「んじゃ、やめてよ、」
「だって、、したいですから」
「ねむいよぉ。。」
「。。。。わかりました。やめます」
「ん、、、、、」
俺の胸に顔を埋めて、あっという間に結城さんは眠りへと旅立ってしまった。
こんなに寝付きが良すぎるのも、ちょっと、物足りない。
俺は彼の首筋にキスをして、もう一度瞳を閉じた。
ーーーーーーーーーーー
「あれ?キミは誰?」
「え?ぼく?ゆうきかいと7才っ」
気付いたら俺は見知らぬ家の庭での見知らぬ子供の前に立っていた。
でも、この子はゆうきかいと。と名乗っている。
「ゆうきかいと?じゃ、かいと君だね」
「うんっ、みんなに、かいとって、呼ばれてるよ」
なんで?
結城さんが、小さい。。
でも、、、、、、すごく、かわいい。
まるで、女の子みたいにかわいい。
垂れた眉毛はまだ手入れもしていない年頃で、大人の今も健在のふっくらとした頬は、よりつるつるで。。。どうして、こんなに、かわいいんだろう。。。。
「ここは、かいと君のお家?」
輸入住宅のようなおしゃれな家と綺麗に芝刈りされて手入れの行き届いた庭を眺めて、俺は小さな結城さんに尋ねる。
「うんっ、パパと住んでる」
「そっか。。。」
思い出した。確か結城さんの母親は小さい時に無くなったのだと。
「パパ、優しい?」
「うんっ、きょうもね。いっぱいご飯作ってくれるんだよっ。きょうね、僕、誕生日。だから7才っ」
「え?今日?」
「11月25日っ。おにーちゃん今日が何日か知らないのぉ?今日はね、僕の誕生日と、ママの死んだ日っ」
「え?」
「だから、今日は僕の誕生日で、ママが死んだ日なんだよ」
淡々と笑顔で母親の命日を語る結城さんに、俺は驚きを隠せずにきいた。
「ママの亡くなった日なの?」
「うんっ、だからね、お家で2回お祝いするんだ」
「お祝い?」
どういうことだ?と思ったら
「かいとーーーご飯できたよーーー」
と家の中から声がする。
「ばいばーい」
走って家の中に去って行くかいと君。
俺は彼の背中を見ながら、、、
どう言う事?
と疑問だらけの自分を持て余していた。