Monsterシリーズ
□君がいいんだ
12ページ/13ページ
プレゼント
☆☆☆☆☆
−マキ、、おきてよ、、ちこくするよ
結城さんの声が聞こえる。
目を開けたら、いつもみたいに結城さんが俺の足を揺さぶっていた。
「ほら、ご飯、、出来てるよ?」
むくっと起き上がって、俺は、結城さんを見た。昨日の淫らな彼は、綺麗で、本当に色っぽい。今の彼は、すごく可愛い。
どっちも・・・・大好きな、結城さん。
「あ、今日は早く起きたね。ほら、ご飯たべよ」
そう言った彼の腕をつかんで引き寄せた。
「わっ、ちょっとっマキ!」
そのまま抱きしめてキスをする。
「結城さん、愛してます」
「もう……ずるいよ。愛してるよ、マキ」
顔を赤くして俺を潤んだ瞳にうつしてくれる彼と、昨日散々セックスしながら言いあった言葉をもう一度伝えあう。
俺はあなたを、愛してる。そしてあなたが俺を、愛してくれてる。
幸せすぎて怖いくらいだ。あなたが、この言葉を言ってくれるなんて……
「ほら、ご飯食べないと、遅刻するよ?」
「わかりました。じゃあ、今夜はあなたが、俺を食べてくださいね?」
途端、結城さんの顔が真っ赤になった。
「なっ、、何言ってんの? マキを、、食べるって、、」
「いっつもおいしそうに俺をいっぱい食べてるでしょ? 俺の全て、あなたのものですから。今夜もお願いしますね?」
可愛い。真っ赤になって、恥ずかしがってる。
「今日はダメっ、、セックスしないのっ」
ほらやっぱり、昨日の事を思い出して照れてる結城さんは、本当に可愛い。
「あははっ、勘違いですよ」
「え……なに?」
訳が分からず困っている彼に俺は笑いながら言った。
「本当は、昨日だったんですけどね、満月。昨日はすっかり寝ちゃいましたし、今日はいっぱい飲んでください」
そう、約束の満月の夜。あなたが吸血鬼に戻る夜。一日遅れたけど、あなたにたくさん食べてもらいたい。
俺とあなたの血の契約だから。そばにいると決めた約束の証だから。
「そっか、、、ありがとう」
結城さんはぎゅっと俺に抱きついてきた。
「お腹すきましたし、ご飯、食べましょ」
俺は彼と手をつないでリビングへと足を向けた。
*
食事を終えて、仕事の用意をしていると、リリリリと電話が鳴った。
「はい、牧田です。ああ、母さん。おはよう。久しぶりだね」
珍しい、母からだった。結城さんはちょっと驚いていたけど、電話だからと静かにしてくれている。
「え? あ、そうでしたね、忘れてました。ええ、28になりましたよ……もう、お祝いするような年ではありませんよ。でも、ありがとう、母さんも、元気で……はい、今から仕事行きます。行ってきます」
簡単に話を終えるとプチと電話を切った。すっかり忘れていたが今日6月15日は俺の誕生日だった。なんだか最近いろんな事があって、そんなこと意識する事すらなかった。
「さ、仕事行きましょうか」と結城さんに声をかけようと彼を見たら、
「マキ・・・・今日、誕生日だったの・・・・?」
ぼそり呟いた結城さんの目から、涙が溢れていて。
「結城さんっ、どうしたのっ?」
俺は驚いて、彼を抱きしめた。
「知らなかった……っお祝い、したかったのにっ……ヒック」
それだけで泣くなんて、なんか嬉しくて困ってしまった俺。彼をなでて宥めながら、
「お知らせしなくてすみませんでした。俺自身が、すっかり忘れてて。ほんとすみません。じゃあ、今夜、結城さんから俺の欲しいもの、もらってもいいですか?」
と、問いかけた。
「うんっ、なに? 用意……するから」
「用意しなくていいですよ、いつも通り、仕事終わったら、一緒にご飯食べましょ?」
「なんで、? なにか、欲しいんじゃ、ないの?」
涙をまだ、目にためつつ、彼は顔を上げて俺を見た。
「俺が欲しいのは、あなただけだから、あなたがそばにいてくれたらそれが、最高のプレゼントですよ」
「俺はずっと……そばにいるよ?」
そんなことを言う彼をもう一度思い切り抱きしめた。あなたをはなさないと誓ったあの時の契約を、今度こそ、本当にするために。今、彼に伝えるんだ。
「今日から、一緒に住みませんか? あなたといられる時間は、全てあなたと一緒にいたいから」
この言葉は、俺の願いのすべて。
「あなたの未来……すべて俺と一緒に、生きてくれませんか?」
それはなんだか、プロポーズみたいだった。
でも
本当のことだから
あなたと手を取り合って
これからも、ともに歩きたい
悲しみも苦しみも喜びも一緒に感じたいと思ったのは出会ってすぐだった
今もそれは変わらないんだ
「マキ……うれしい、っっふ……っ」
なのに、自分の欲望が怖くて、あなたと過ごす時間をわざと少なくしていたこの1年をもったいなかったとさえ、今は思う。
あなたを欲しがるのは、当然のことなのに。
愛してるから
心も体も、そう
あなたのすべてを愛してる
もう、離れるなんて出来ない
そばにいて
この命が尽きるまであなたを感じさせて
俺の体が
俺の心が
俺のすべてが
あなたがいいと
叫んでいるから
「俺……マキと、一緒に住む……ずっと、ずっと」
その返事は、これからの未来をともに生きていく二人の、目標であり、誓いだ。
「ありがとう……今日は最高の日ですよ」
結城さん、最高の誕生日プレゼントをいただきましたよ
それは、あなたです
☆☆☆☆☆
次はあとがきとおまけです