総一テキスト

□+保健医皆城先生2
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竜宮島第二小学校保健医、皆城総士。
生徒達が賑やかに登校してくる中、総士は日課になりつつある一騎のデータ整理を行っていた。

ピッ

「ふむ…一騎がこれまでにイった回数、748回。僕がここにいなかった1年間、夢精以外の自慰は行っていなかったから…青年の平均にしては少ない方だろうか…」

ブツブツと呟きながら、食い入るようにモニターを見つめる総士。
鈍く光るモニターには、数々のグラフや英数字の羅列。
その内容は全て一騎関連で、この場に一騎がいたのなら総士もモニターごと全て含めて、何もかも破壊していただろう。
生憎、総士の発言に対して「それ、十分多い…っていうか有り得ないですから」と突っ込める人物もいない。

「748回中、正常位が296回。後背位135回、騎乗位111回…座位が98回、その他108回…煩悩の数だな。凄いぞ一騎!」

勢いよく立ち上がった所為で、椅子がガタン、と後ろへ倒れた。
それに気にする様子もなく、総士は興奮した面持ちでキーを叩く。

「48手は全て実践したし、粗方のプレイもやった…あとはもっとマイナーな体位とプレイを行うのみだな。一騎は深く入る方が好きだから、それを活かせるものを……あぁ、もうこんな時間か」

時刻は8時20分。職員会議の時間である。
総士はパソコンをスタンバイ状態にすると、汚れの無い白衣を颯爽と翻して大職員室へと向かった。



「おはようございます」

「あぁ、おはようございます、皆城先生」
「今日も朝から生き生きしていますねぇ」
「毎日そうしていられる先生が羨ましいです」

大職員室で挨拶をすると、入り口付近にデスクが位置している1年の担任教師陣が挨拶を返してきた。
ちなみに、竜宮島の全ての教育施設スタッフは、アルヴィスのスタッフでもある。

「日課のお陰ですよ」

クスリと笑って、他の教員に挨拶をしながら自分のデスクへと向かう。
すると、会議用に配布されたデータをチェックしている一騎の姿を捉えた。


「おはよう、一騎」
「おはよう。…総士、寝癖ついてる」
「何処だ?鏡で見た時は気付かなかったが…」
「…此処。辺にハネてる」

そう言って一騎が髪の毛の人房をつまむ。
寝癖は後ろ髪に近い位置で、確かに自分では気付かなかっただろう。
指摘されて手で撫で付ける総士だが、頑固なのか寝癖は一向に直らない。

「昨夜、変な体勢で寝たからだろうか…」
「自業自得だ。お前、俺に抱きついたまま寝て離れないから、今朝から首が痛くて大変なんだぞ…っ!」

そこまで言って、一騎ははっと我に返る。
周りには、大勢の教職員。
向けられる好奇な目。不思議と、嫌悪や差別を露わにする目は無い。

「っと…す、すみません…気にしないで…下さい…」

耳まで赤くなり消え入るような声でか細く紡がれた言葉に、総士は口元を歪めた。
(そうだ一騎!お前を狙っている職員は沢山いるんだ!もっと見せ付けてやれ!!)
一騎はそんな皆城の思考をよそに、居た堪れない気分で椅子に浅く腰掛けた。


「ゴホン…では、職員会議を始めます。皆城先生、いいですか?」

依然デスクの前に立ったままの皆城を見て、副校長の男性教諭が座るように促す。
失礼しました、と静かに腰掛ける総士。隣にはシュンとしている一騎がいる。

「今日は地下施設の整備と職員の非常用訓練の為、4限授業です。整備の箇所や流れに関しては資料を参照して下さい。訓練については、事前に詳細な時刻等をお知らせしませんので、早急に対処出来る様にお願いします。あとは、7月から始まる水泳の…」

副校長の明瞭な声を聞きながら、手元のモニターで資料を見る。
ちらりと隣の一騎を見ると、まだ頬から赤みが引いていなかった。
(やはり可愛いな…あぁ…一騎…)

うっとりとした目で、細く深くため息をつく総士。
傍から見れば、イってる人だ。




「では一騎、また後で」
「あぁ、後で…」

職員会議終了後、各々の教室や持ち場へ散っていく教職員達。
一騎は1限から6年生の授業を受け持っている為、着替えにロッカーへと向かう。
総士の向かう先は、当然保健室だ。

去っていく一騎の後姿を見ながら、「やはりいい尻だ…」と呟いた。
偶然近くにいた国語教諭は、その言葉をうっかりと聞いてしまい、ビクリと震えた。


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