総一テキスト

□+*猫耳のススメ
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フェストゥムとの、もう何度目かも判らない戦闘後。
いつものような激しい戦闘は嘘のようで、殆ど負傷していない状態で帰島する事が出来た一騎。

(今日のフェストゥムはやけに大人しくやられてくれたが・・・何か、嫌な予感がする・・・)

何なんだ、と総士が考えていると、一騎がまだコクピットブロックから出てきていない事に気付いた。
もう格納庫のゲージに固定されているというのに。

「一騎・・・?一体何を・・・っ!」

総士の頭を過ぎる、最悪のシナリオ。

(いや、戦闘中も戦闘後も変わった様子は無かった・・・変化があれば、すぐ僕に判る筈だ・・・!)

そう自分に言い聞かせ、地を蹴る足を速く、格納庫へと向かった。



「一騎っ!!」

格納庫へ行くと、コクピット・ブロックの周りに大人の人だかりが出来ていた。
まさか、と思いながら総士がその中心に走ると、そこには信じられない光景が広がっていた。


「・・・そ、総士・・・」

可愛らしい顔を凍りつかせている以外、いつもの一騎。
そう、ふわふわした耳も、細い身体も、ぱたぱたと揺れる柔らかそうな尻尾も・・・。

そう、尻尾も・・・・

(尻尾!?耳!?)

「か、一騎・・・?」

今、総士の目の前に居るのは間違いなく一騎だ。
だが、何だこのBL小説やパロでお約束な展開は的な猫耳&猫尻尾がオプションで付いている。

普段ならピンと聡明そうに立っているであろうふわふわの耳は、今はシュンと垂れ下がり、触ったら気持ち良さそうな尻尾は、一騎の背後のシートをなぞっている。

予想外の事態に慌てる大人たち。

しかし総士は、心の中でフェストゥムに土下座をする勢いで感謝していた。

(有難うフェストゥム!!本当に有難う!!)

「あの、総士・・・?」
「え、あ、すまない、一騎。しかし・・・これは一体・・・」
「ええと、とりあえず、此処、出てもいいかな?色んな人にジロジロ見られるの、嫌なんだけど・・・」

そう言ってモジモジと俯く一騎。耳が今まで以上に垂れ下がる。
なんだか捨てられた子猫のようで、自虐心やナニやらを色々そそる。

(うっ・・・!だめだだめだ皆城総士!こんな所で臨戦態勢に入ってしまったらだめだ!我慢するんだっ!!)

総士は理性と戦った結果、どうにか勝利したようだ。

「そ、そうだな、一先ず着替えよう。一騎、こっちへ」

腕を一騎の両脇に差し込み、軽く力を込めた。
ふわりと浮く一騎の身体。
途端、一騎の尻尾が総士の手の甲に触れた。
ゾクリ、と粟立つ総士の肌。

それに伴って一瞬動きを止めた総士に、一騎が声をかけた。

「総士・・・?」
「ぁ、いや、なんでもない。行くぞ、一騎」

(参ったな・・・)

一騎を連れて格納庫を出る総士。
その頬がいつもより赤かった事を発見して、ニヤリと笑った大人がいたとかいないとか・・・。


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