総一テキスト
□+新婚さんいらっしゃい
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「一騎」
「ん?」
放課後、鞄に教科書を詰め帰宅の準備をしていた一騎は、突然総士に呼び止められた。
「今日、一騎の家にお邪魔してもいいか?」
「・・・別にいいけど・・・?」
「そうか、良かった。じゃぁ行こうか」
「え、おいちょっと総士・・・!?」
右手に総士が腕を絡ませ、ぐいぐいと引っ張っていく。
一騎は慌てて教科書が詰まった鞄を左手で掴み、混乱した頭で無抵抗のまま連れて行かれた。
それを呆けて見ていたクラスメイト達は、心の中で一騎に同情した。
『哀れ・・・一騎(くん)っ・・・!!!』
* * * *
「・・・っで、どうしたんだよ、急にっ・・・!」
真壁家の家の前まで到着した二人。
一騎は肩で息をしている。
かなり早いスピードで総士が歩いたのであろう。
「いやぁ、一騎の手料理をご馳走になりたくってね」
小首を傾げ、語尾にハートマークを付ける勢いで(実際付いていたのだろう)可愛らしく言う総士。
(絶対なんかある・・・!!!)
一騎は心の中で叫んだが、総士が恐ろしくて口に出せない。
「ね?いいだろう?一騎」
「う、ん、まぁ、夕飯ぐらい・・・なら・・・」
総士の笑顔の脅迫に耐え切れず、首を縦に振る一騎。
夕飯ぐらいなら総士も何もしないだろう、という軽い気持ちで答えたが、一騎は後に猛烈に後悔することになった。