総一テキスト

□+*猫耳のススメ
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「総士・・・着替えたけど・・・」

更衣室から戻ってきた一騎は、アルヴィスの制服を身に着けていた。
尻尾はどうなるのかと思っていたが、どうやら制服の一部を切ったらしく、穴の開いた部分からひょろりと出ていた。
猫耳はというと、今はピンと立っていて、可愛らしいながらもとても賢そうだ。

「あぁ・・・しかし・・・その・・・似合うな・・・」
「!!!・・・それ、此処に来るまでに散々言われたよ・・・」

途端に項垂れる一騎と猫耳。
猫耳は単に可愛いだけではなく、感情の起伏も判り易いのかと、妙に納得してしまった。

「まぁ、似合わないと言われるよりは・・・」
「いや、男が猫耳なんて似合っても嬉しくもなんともないから」

速攻で否定されてしまった。
そんなに嫌なのか?こんなに可愛いのに・・・。


 * * * *


「遠見先生」
「・・・皆城くん、一騎くん・・・。どうぞ」

一騎を連れて向かった先はメディカル・ルーム。
戦闘後に一騎に現れた異変。
表面上は猫耳と猫尻尾だけだが、内部が遺伝子レベルで
変化しているかもしれない。
これも一種の、同化現象なのか・・・。

「それじゃぁこれから検査をするから、一騎くんはこっちね」
「はい」

重い扉を開けて、一騎を促す遠見先生。
扉をめるとき、一瞬だけ一騎がこちらを向いたのは気の所為ではない。


「・・・皆城くんは、今回の事をどう考えているの?検査の結果によっては・・・」
「一騎の身体が、もう持たない・・・ファフナーに乗れないかもしれないという事ですか?」
「・・・えぇ」

ため息をつく。

変化した一騎を見たときはぬか喜びしてしまったが、あの変化が一騎の身体にどのような異変をもたらしたのか・・・それとも、今後もたらすのか。
そう考えると、体中が冷たくなっていく感覚に見舞われる。

「・・・今回、戦闘中に同化されるという事はなかった。それはシステムを介している僕が一番理解している」
「それはモニタリングしているこちらでも承知の事よ。だから、余計に判らないの・・・」

一騎が支度を済ませてガラスの向こうに姿を現した。
遠見先生が指示を出す。

「同化現象が進んでも、こんな形に変化するとは思えない、か・・・」
「そう・・・。ましてや、こんな・・・猫耳なんて・・・」

言い難そうに喋る遠見先生。
それはそうだ。フェストゥムがこんな形に一騎を変えるなんて思いもしないだろう。

白い医療用機材から見え隠れする一騎。
モニターに映し出されている数値は、僕の判る範囲では正常な筈だ。

「抗同化剤で・・・どうにかなればいいんですけどね」

ちょっと勿体無いけど、と心の中で呟いた。


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