熱唱
□歌う…
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歌を唄うために生まれて来た。
…と、言われるけど。
唄うだけじゃ意味がない。
誰かに聞いて欲しくて
誰かのために唄いたくて
俺の歌は、アイツがいてこそ歌になる。
俺の歌を聞くアイツに、俺の想いは伝わってる……?
ダイヤモンドフォースに守られるのが当たり前になっていた。
深い藍色の機体が、俺たちに向けられる銃口の前に立ちはだかる。
「大丈夫か!?」
「ああ!!」
戦闘の合間に交わせる言葉は少なく、サウンドブースターから響く音楽が場を支配する。
俺の歌で救える奴の数なんて、たかが知れている。どれ程懸命に聞かせても、届かない想いがある。
諦められないのは、昔からの性分だ。
認めてくれなくていい、唯、聴いて欲しいと、声を張り上げていた。
銃弾を左のアームで防ぎ、拡張された歌エネルギーを放出する。
正気に戻り、戦線を離脱するパイロットたちを見て、気が弛んだ。
「バサラっ!!」
遠くから聞こえるミレーヌの声。
背後の敵に、気付くのが遅れた。
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