みじかい

□きみフェチ
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フェティシズムってあるだろう?
物や体の一部に固執して性的興奮を得る、性的倒錯。異常性欲。
あれってさ、結局は一部にしか執着出来てないじゃないか。
僕は違う。全く違うね。
僕はアリアの全てを愛してる。全てに執着出来る。

さらさらの髪の毛、長い睫毛に縁取られた大きな瞳、さくらんぼみたいな唇、しなやかな首、細い肩、きっと柔らかいだろう(触ったことないけど)胸、全体的に小さい体、華奢な手足、愛らしい声、最高に可愛い笑顔、何もかもに。

抱き締めたら、頭を撫でたら、キス、したら。
愛を囁き、囁かれたら。
きっと天にも昇れるくらいに幸せな気持ちになれる筈だ。


「それが出来ないから不幸せなんだ僕は」

誰に話し掛けるでもなく呟く。
真夜中の談話室、僕以外には誰もいない。
独り言が多くなるのって鬱の始まりの可能性があるんだよとそういえばアリアが言っていた。
それは確か一昨日のことだ、あのときのアリアの声色、表情、唇の動き、僕は全て覚えている。

『ドラコって独り言多そう』
『それがなんだ』
『独り言が多くなるのってね、鬱の始まりらしいよ!』

可愛いアリアの言うことだ、つまり気をつけてねという意味だろう。言ってなかったけど。


「可愛い奴め」


もう一度、誰もいない談話室に呟いて。
ああ僕って全くあいつにぞっこんだな、そう思って目を閉じた。





きみフェチ



(愛してるよ、アリア)







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