みじかい
□インモラリストの恋愛模様
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「モラルに反することってさ、楽しいことばかりだと思わない?」
「………あん?」
ちょうど私がチョコレートパイを口に突っ込んだとき、リドルが恍惚とした表情で言った。
自分の素晴らしい考えにうっとり心酔する。こいつの悪い癖だ。
今日もリドルは好調らしい、と私はチョコレートパイをもぐもぐしながらリドルの言葉の意味を一応考えてみた。
が、分からない。
「意味が分からないよ」
「きみってやっぱり馬鹿だね」
むかー!
素直に「分かりません」と白状してやったのに、リドルは私を馬鹿呼ばわり。
確かに私は馬鹿だけど、面と向かって言われると非常に腹立たしい。
「私に分かるように説明できないリドルのが馬鹿じゃん!」
「なに言ってるの?馬鹿の言葉は理解できないんだ、ごめんね」
「むきー!」
「あはは、ぶっさいく」
「うるさああああい!!」
怒る私に向かってリドルは更に不細工とまで言ってきた。
私の怒りは臨界点を突破した。
しかしリドルは笑っている。
柔らかい、本当の笑みだ。
こいつ普通に笑うと目尻下がって可愛いんだよなあ、と思いながらも口には出さない。
なぜだか知らないけど、そういうこと言うとリドル怒るんだ。
「はは…っあー、面白い!」
「人の顔でそんなに笑うんだなんてあんたもしかして最低人間なんじゃないの」
「お褒めの言葉どうも。…でね、アリア」
急に真剣な顔をして私を見るリドル。
ちょっとどきっとした。
「僕とインモラルなこと、しようよ」
言葉と同時に降ってくるキス。
ああこいつアホだなあと思いつつ、私もそれに応じるのだった。
(インモラリストの恋愛模様、)