WING

□リデリア編 それぞれの道へ…
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昨日の夜、夜更かししていたことは、教官方に怒られることは無かった。

僕達みたいな人は、毎年誰かしらいるんだって!まぁ、だからと言ってやってもいいわけないんだけどね…。

制服を着て、キツいけどネクタイを上までしっかり絞めて、卒業生がつけるコサージュを付ける。明るい色の色とりどりの花で作られたコサージュは、白をベースに青のラインが入ったジャッケトにはちょっと目立った。

荷物を部屋の入り口付近に置いて教室に向かった。



いつもより騒がしいのは卒業式だからだと思う。廊下を渡る途中で何人もの人に、いつも以上に話しかけられた。もちろん、違うクラスの人や後輩達に。

教室に入るとみんな誰かと話していた。
僕もとあるグループの中に入る。

「おはよー!」

そう言って、手を振りながら近づいたグループはもちろん、いつものグループだ。

「よっ!おはようさん」
「おはよう!」
「おはようございます、カナト」

エルザ、メイシェン、リノの胸にも同じコサージュが付いている。
一時はどうなると思っていた試験もなんとかパスできて今があると思う。

二人にバレないようにエルザがそっと耳打ちしてきた。

「昨日の夜のこと、怒られなかったか?」

昨日のことで教官が何も言わないので、少し不安がっているみたい。メイシェンとリノには内緒だから、僕も耳打ちして返事をした。

「大丈夫。教官達には何も言われてないよ」

おっきなため息をついたエルザ。凄く安堵を感じているような気がする。

「そっちは、大丈夫だったんだな」
「そっちは?ってどういうこと!?」

エルザの言葉に首を傾げ、つい大声で言ってしまう。

「バカ!!声でけーよ!えっと、そのー、リノ達にバレた」

背中に悪寒が走り、恐る恐る二人の方を見る。リノは眉を寄せてちょっと可愛らしい。けど、問題はそっちじゃない。

メイシェンのその顔は、笑っていたけど…
怖い!怒ってる!!目が怒ってるよ!!!

「カナトくーん、昨日の夜、エルザ君と何してたのかなぁ?なんで私たちも呼んでくれなかったのかなぁ?」

怖い!エルザじゃないけど、ガチで怖い!!メイシェンの後ろに鬼がいるぅぅぅぅ!!!

結局、その気迫に対抗する術がなく、エルザと二人で土下座する羽目になった。



楽しい筈の朝は、メイシェンのお説教タイムに変わり、チャイムが鳴った時にやっと終わった。

二十分とはいえ、やっぱり足が痺れて上手く立てない…。モンスター性の麻痺ではないため、薬は使えない。改めて解除薬のありがたみが身に染みるほど分かった。




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