WING
□リデリア編 卒業試験
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沢山のウルフに襲われている少年が必死に逃げ道を探していた。
それが十三年前の僕と重なって見えた。
唖然としていた時にメイシェンが追いついた。
「カナト、ちょっとまちなさいよって、大変。あの子、ウルフに襲われてるじゃない。なにぼっとしているの?」
メイシェンに叱られてやっと我にかえった僕は、あの少年を助け出す方法をかんがえた。
ウルフはざっと、二十を超える。普通に戦ったら、試験に間に合わない。それに増援を呼ばれたら僕らだけじゃ、手におえない。
やっぱり、アレを使うしかないか。
「メイシェン、時間稼げない?」
「できるけれど…何で?」
まだ一回も使ったことのない、リデリア式魔法を使おうと決めた。
「リデリア式魔法を使う。詠唱が長いから、それまでウルフ達のきをひいていてほしいんだ。」
‘ミッションの時の僕’が作戦を練る。
魔法を使うと聞いたメイシェンは、驚愕した。
「魔法を使うって、そんなことできるの?いくら才能があるからって、いきなりは無理よ!!」
彼女の質問に答えた。
「大丈夫だよ。確信はある。それに、あの子一人置いて、騎士団までに、報告に行くのか?」
この時、彼女から見てぼくは、冷たいらしい。
そんなに怖いのかな、僕?
メイシェンは、少し黙ってから、
「…わかった。その代わり失敗しないでよ!!」
そう言って、少年のいる所へ飛び出していった。