WING

□リデリア編 卒業前夜 エルザ′s side
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「分かってたのか?」

答えは明確のような気がするが、あえて聞いてみた。
カナトは結構トンチンカンな答えが返って来ることがあるからな…。

「うん、分かってた。学校寮での最後の夜だしね…。それに、エルザの気配がしたから、また勝負しに来たのかなって」

おいおいおいおい、こんな所で検索スキル使うなよ。

呆れてものが言えなくなった俺は、でっかいため息をついた。

毎度ながら、こいつのやることなすことその全てに度肝を抜かれている。試験の時は本当に腰が抜けちまって、数分は立てなかったのは、リノとの秘密だ。

これから俺が何をしたいのか分かっているのなら、もう、これ以上言う必要は無かった。

「中庭で待ってる。準備が終わり次第さっさと来い」

それだけを言い残し、俺はカナトの部屋を後にした。



夜空の色が濃くなる頃になって、やっと来た。

あああああ!!ったく、おっせーんだよ!!そこ急ぐだろ、普通。
なのにアイツ、悠長に歩いて来てやがるし…。
しかも、

「あ、ごめん。待った?」

なんてにこやかにい言うし。
本当にコイツには驚かされるよ、本当…。いや、今回ばかりは驚きを通り越して、呆れた。

いつものことだろっ?と自分に言い聞かせ、黙って木刀を構える。

コイツには「さっさと構えろよ」なんてセリフは要らない。いつもはアホだけど、こういう時の真剣さは、ずば抜けて凄い。や、お世辞じゃねーから、ガチだから!!

俺が構えるのを見て、カナトも木刀を構えた。俺のと同じくらいすり減っているその木刀を。

そのまま、精神を研ぎ澄ませ一瞬の動きを待つ。真っ暗闇の中、水の上に立っているような不安定な感覚。集中を途切らせてしまったら今にも沈んでしまうかもしれない恐さ。
それを感じながら、俺は下段にカナトは発送に構えている。

お互いがお互いの目を見て威圧を送っていると、

ー不意に風が吹いた。




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