WING

□リデリア編 それぞれの道へ…
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逃げるように走って、街にあるレストランに飛び込んだ。
先に来ていた他の人達が驚いたように、こちらを向いた。

「おい…大丈夫かよ?」
「エルザ、卒業式で何かあったのか?」
「さぁ?あ、でもカナトのやつけっこうモテるから、また女子に追われてたんじゃね?」

いつものことのように話すエルザの話しをあっけらかんという表情で聞いているフィルの横で、メイシェンは大声で笑っていた。
リノはというと、少しムッとした感じでこちらを見ていた。…なんでリノがムッとするの?

「で、今日はどうして追っかけられたの?」

メイシェンの質問でやっと思い出した。

「あぁ!!そうだよ、聞いてよ!!正門の所で女の子達に『第二ボタンちょうだい!!』って追いかけられたんだよ!逃げるの大変だったんだから!!」

僕の必死の訴えに、メイシェン、エルザは聞かぬフリをして知らん顔してる。

「なぁエルザ、カナトって、普段もあんな感じで追いかけられてたのか?」

フィルは苦笑いしながらエルザに聞いた。なんでそこを僕じゃなくて、エルザに聞くの!?

「追いかけられてはないけど、ファンレターとラブレターと決闘の申し込みは絶えず来てたな」

こちらもまた苦笑いで答えた。

そういえば、そうだっけ?なんて思い出に浸っていたら、リノが凄く取り乱したようにこちらに迫って来た。

「それ、本当ですか!?第二ボタンはどうしたのですか?」

座っていた椅子から勢いよく立ち上がって僕の方を見る。

「逃げて来たよ。それに、第二ボタンはちゃんとここにあるよ」

制服を指差してみせた。
リノはそれを見て、安心するようにため息をついてそっと微笑んだ。なんでリノが安心なんてするんだろう?
リノの微笑む顔を見たとたん、ドクンと心臓がなる。それと同時に顔が少し熱くなる。あれ?僕、どうしちゃったんだろう?

エルザとメイシェンが、ニヤニヤしていた。

え!?何!?僕変な事した?

わけが分からず立っていると、

「カナト、いい加減座ったらどうだ?」

って、王子様に言われてしまった。しかも呆れ気味に。
そういえば僕、ずっと立ちっぱなしだったっけ?




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