雑文

□GIVE ME LOVE.
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どこ?ここ。
路地裏?
そこに一匹の黒い猫がいる。
あれは、おそらくローだ。


私は部屋にいた
はずなんだけど...。
まるで視界が浮いてる感じ。






そうか、これはローの記憶。
猫にはこんな能力もあるの?
いや、ローが特別だから?




「あ、みっけー!」


やって来たのは5人の小学生。
その姿を見て、黒猫が
ガタガタと震えている。


「にげんなよー!
とーちゃんが、黒い猫は
わるい猫だって言ってたんだ!」


「うちのママも言ってた!
たいじしないとだめって!」


小学生に取り囲まれたローは
逃げる術もなく、ただ
蹴られ続ける。


ニャー。


そのか細い鳴き声は私に
"助けて"と聞こえた。








場面は変わり、橋の上。
意地悪な笑みを浮かべた青年が
黒猫を捕まえようとする。
また、誰かに
虐められたのだろう。
傷をおっていた黒猫は
すぐに捕まってしまう。
そして、橋の上から
落とされた。
ひどい...。


ちゃぽん、という音を
最後に黒猫は
見えなくなってしまった。


それからも目に映るのは
残酷な光景。
何度も、殺されかけては
身を隠して逃げる。














ローの記憶から
戻ってきた私の頬には
涙が流れていた。


「怖かったね..」


優しく、ローに触れる。
よく見ると
傷がたくさんついていた。
大きいものから、
小さいものまで...。
それを指で、優しくなぞった。


ローはか細い声で呟いた。


「もう...死にたいんだ...。」


私は、ローを
力強く抱きしめた。


「痛かったね...
たくさん怖い思い、
したんだね..。」


私の胸の中で、
震えながらローは泣いた。


『死にたい』
そんなことを思いながら
ローは生きてきた。
なぜ、自分がこんな目に、と。
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