小話

□食事
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「なあなあ、細かいこと気にすんなよ。いーじゃん、しよーぜー?」

…細かいことだあ?

確認するが、ここはおれの部屋だ。
突然、正体不明の男が現れた。色々と不可思議な出で立ちで。
…まずい…余計混乱してきた…

「…なんなんだてめぇは…」

「だから言ってんじゃねぇーか。淫魔、別名夢魔のサンジ君ですよろしく!」

なんでそうなる

「ほらちゃんと、角とか尻尾とか羽根とかあんだろー?」

ほらほらぁと見せてくる。
やめてくれ。
だが哀しいかな、そんな非現実的なもんより気になるのは

「…その格好はなんなんだ」

「…らんじぇりー?」

「………はああああ…」

だ ろ う な!それにしか見えねぇよ!
もう、まじでなんなんだこいつ

「なんでそんな格好してんのか聞いてんだよ!」

「え、誘うため?」

まるで何言ってるかわかんねーって面すんじゃねぇ!こっちがまるで訳わかんねーんだよ!!

「さっき街でてめぇのこと見かけて、こうズビビッて来たって言うか?うまそーだなあって思って?こりゃ行動あるのみだなぁって?実際味見してみたら絶品だしよー…!」

味見って…!ありゃ、味見かこの野郎!
出会い頭にキスなんざかましてきやがって…

「さっきまでの空腹が嘘みてぇ…!なあ、だからしよーぜって?普通の人間ならちょっと精気吸ったら死ぬ奴もいるのに、てめぇ…すげぇな…。底なしじゃねぇか…!」

恍惚した表情でそんなことをのたまう。
…いや、ふざけんな
そもそも第一

「てめぇ男じゃねぇか!!」

「んな細けぇこと気にすんなよな。そもそもおれたちに性別なんてもんはねーの。相手が一番その気になる姿で現れるもんなの。その気ってその気ね。だから要するに、てめぇもしかして…ガチホモ?」

「あ゛あ゛!?」

そんなはずは!!ねえ!!……はずだ
確かに、女に惚れたことはねぇが…
それは男だって同じだ!断じて…

「だから、おれが現れた時点でてめぇはおれに夢中でがっついて来るかと思ったのにぃ…さすが、一筋縄じゃいかねぇ極上品…じゅるり…」

言われて全く嬉しくねぇ“さすが”ってのがあるんだな…

「いーじゃねぇかよお!てめぇ、いくら吸っても精気無くなんなそうだし!おまえ、気持ち良い。おれ、美味しい食事で幸せ!まさにギブアンドテイク!」

だれかこの頭のネジぶっ飛んだイキモノをなんとかしてくれ…

「そのどこにおれの利益があるってんだ!!!」

「けちけちすんなよな。ちょっと精液飲ましてくれりゃ良いんだからよ。…ああ、直接ぶちこんでくれてもイイぜ?」

赤い舌をチロチロ覗かせて言い放つ。
ちょっとって、オイ…

「…どこに何を…」

「ケツにナ「いやおれが悪かった、言わなくていい。言うな。」

「これでも淫魔だし、具合はいいはずだぞ?」

「そ う い う 問 題 じゃ ねぇ」

「頑固な奴だなー。よし、じゃあこうしよう。てめぇの食事の世話もしてやる!」

「はあ?」

「おれ、こっちに紛れるとき料理人やってたんだ。そりゃもう、うめぇんだぞ!よし、そうとなったら精力つくもんたらふく食わせてやる!!待ってろ?んでヤろう!」

「へぇ…いや、そうとなってねぇよ!ヤらねぇよ!!」

おれの言葉をまるっきり無視して台所(湯沸かしくらいにしか使ったことがねぇ)に行き、何やらごそごそし始めた。
まともなもんが全くねぇとかぶつぶつ呟いて冷蔵庫やらそこかしこを漁る

「うおー酒ばっか…」

「おれの勝手だ」

「…食生活を改善したら、もっと美味くなる…?じゅる…」

「おれは家畜か!」

「おまえ、うまいこと言うなー!」

「…」

どうやらおれは完全に“美味いメシ”らしい
そんなこんなで出てきた料理は、このおれの部屋で作られたものとは信じられないものだった。
実家から送られてきてそのまま冷蔵庫に突っ込んでおいたよくわからない物体まできれいに料理し尽くされていた。
思わず美味いと呟いてしまったら、心底嬉しそうににっかりと笑った。アホ面には変わりないが、不覚にも可愛いとかなんとか思ってしまった。…いや、気のせいだ。

「…ごっそさん」

「よし!んじゃ、いただきます」

「は?」

「おれも!でぃ・な・あ!」

そう言ってベルトに手がかけられる。

「だああああ!?なにしやがる!!!」

「なにってナ「言わんでいい」

「無料めし食らいかこのヤロー!!約束だろー!!」

「いや、してねえよ!!」

「こんのどこまでも頑固野郎め!!」

「それはこっちの台詞だ!!」

「ちい…しょうがねぇ……」

っちぅ………じゅるるるるるる!

「…ぷはっ。これで我慢してやるよ!ったく。嬉しい駄賃いただいちまったしな。見てろ!そのうちてめぇなんかおれとヤりたくてヤりたくてしょうがなくなんだからな!!」

「…」

舌まで突っ込んで来やがった…
舌がビリビリしやがる…これが精力を抜かれたってやつか?
参った…クセになりそ、いや、断じて…!

まあそんな感じで、
その誘惑に打ち勝つなんてお前イ○ポか!疑惑の青年の部屋に居候?する淫魔。
果たして、
淫魔の色気に負けてヤるのが先か
淫魔に惚れてしまってヤるのが先か
淫魔が我慢できなくなって勝手にヤるのが先か!
どっちにしろヤるのかよ
そりゃヤるだろ

だって、ゾサだもの!!



おわっとく









―――――


楽 し か っ たヽ( ̄▽ ̄)ノ!

頭のネジが2本も3本もぶっ飛んでるサンちゃんは、うちでは標準装備。

淫魔サンジはね、誘い受けなの。
襲い受けではないの。獲物を誘惑して手に入れるというプライドがあるの。
愛?あるんじゃないかな(  ̄▽ ̄)?←
性欲から始まったっていいじゃない!((((

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